photo by Julian Burgueño
これまでに5 Seconds of SummerやThe Vampsなどとツアーを敢行、2020年にリリースした2ndアルバムが全米チャートトップ60入りを果たすなど、注目を集める米ユタ州出身の4人組インディー・バンドであるThe Aces(ジ・エイシズ)が、プライド月間の幕開けとともに、3rdアルバム『I’ve Loved You For So Long』を発表。全11曲で構成されたアルバムは、Keith Varon (Joji, JORDY, Chloe Moriondoなどを手掛ける)をプロデューサーに迎え、パンデミックのなか何度もセッションをおこない制作されたもの。幼少時代に経験した、秘密の恋、また宗教的なトラウマなどが、現在の人間関係やメンタルヘルスにどのような影響をもたらしているのかを表現しているという。しかし、サウンドは1980年代のポップや90年代のオルタナティブ・ロックのようなノスタルジックな雰囲気を取り入れた、開放的な仕上がり。結果、これまでに最も自信に満ち、かつ人生最大の愛を得ている彼らの現在が閉じ込められた内容になっている。
リード・シンガーであるCristal Ramirezは以下のように語る。
「このアルバムは自分を再構築させるための作品。私は、これまでの自分の人生を振り返ってみると、別人ではないかと思うことがある。きっと年齢を重ねて、知識を得たとしても、その違和感を拭い去ることはできないだろう。しかし、このアルバムを作っていて、驚くべき、また奇妙な発見をした。不安と恐怖、そしてコントロールできない世界に支配された、終わりのない昼と夜の物語を音楽として伝えようとしていたとき、すべてを指し示し続けた人がいることに。ユタ州の宗教的な郊外に住む14歳のクィアであるその少女は、兄の部屋からこっそり持ち出したギターで、地下室でメロディーをつなぎ合わせるパズルだけが本当の喜びと平和だった。その少女は、世界が燃えているときに私を救ってくれた。だから今こそ、彼女の物語を、つまり私たちの物語を綴る時が来た。これまでの私は、自分が変わったと思い、それを名誉の象徴のように身にまとっていたが、結局のところ、私は多くの点で14歳の少女(自分)と何ら変化がないことに気づいた。と同時に、その少女(当時の自分)を以前よりもずっと好きになった」
また、アルバムからのシングル曲である「Attention」についてもCristal は語る。
「人生において興味深いことのひとつとして、あなたの最大の夢が、最大の孤独をもたらす要因になり得るということ。”Attention”は、この相反する感情を探求した楽曲。音楽を演奏し、世界中をツアーするという夢が、自宅のクローゼットで混乱していた10代の私を覚醒させた。それまでの私は、ユタ州の小さな郊外に自分の人生を作り出そうと必死だった。でも、もし外に出ることができれば、すべてが素晴らしいものになるだろうって。結果、夢が叶った時、人生はドラマティックに変わった。今でも、自分たちの置かれた立場は素晴らしいものだと感謝しているけど、主要な祝日のほとんどを家で過ごしたのはいつ以来か思い出せないし、何千キロも離れたガールフレンドと時差のせいで喧嘩したままで眠りについてしまう事態を何度も経験している。私の最大の夢は、人生で最も重要な人々から私を引き離すことになることもある。この楽曲ではすべての願望には代償があり、すべてのバラには棘があることを綴った」。
The CranberriesやLCD Soundsystemなど、多彩なアーティストからインスピレーションを得て活動をスタートさせたThe Aces。自分たちのルーツに誠実でありながらも、常に斬新なサウンドを実験し続ける彼らは、このアルバムを携えて、世界30都市でヘッドライナー公演を務め、Fork Fest、Sziget、Pukkelpopなどのフェスティバルへの出演がアナウンス。理想と現実のギャップと向き合い続けながら、進化し続ける彼らの鼓動を感じられるアルバム、そしてライヴになりそうだ。
The Aces / ジ・エイシズ
アルバム『I’ve Loved You For So Long』配信中
配信リンク:https://theaces.ffm.to/ilyfsl
トラックリスト
1.I’ve Loved You For So Long
2.Girls Make Me Wanna Die
3.Always Get This Way
4.Solo
5.Not the Same
6.Suburban Blues
7.Person
8.Miserable
9.Attention
10.Stop Feeling
11.Younger
The Aces
姉妹であるCristalとAlisa Ramirez(それぞれリードボーカル/ギターとドラム)に加え、Katie Henderson(リードギター/ボーカル)、McKenna Petty(ベース)からなるバンド。現在までに、2億2,000万回以上のストリーム数を獲得しており、さらに、5 Seconds of Summer、X Ambassadors、The Vamps、COINなどとツアーを行い、NY Pride、Lollapalooza、Firefly、Bonnaroo、OUTFESTなど多数のフェスにも登場している。20年にリリースした前作である2nd『Under My Influence』は、7,500万回以上(うちリードシングル「Daydream」は3,500万回)もの再生数を獲得し、米ビルボードのトップアルバムランキングで53位にランクインするなど、世界的な高評価を獲得したものの、パンデミックの影響で自分探しのインナー・トリップをする日々を過ごした。それぞれが内に秘めた思いと真摯に向き合ったことにより、バンドのヴィジョン、そしてお互いの信頼関係はより強固なものへと進化したという。
結果、完成したアルバム『I’ve Loved You For So Long』は、インディー・ロックの輝きを放ちながらも、これまでで最もパーソナルで自信に満ちた作品に仕上がっている。メンタル・ヘルスと自己破壊について熟考した曲から、愛、憧れ、失恋についての切ないアンセムまで、収録曲の数々は胸に染み渡り、かつ最後まで口ずさみたくなるものばかりが揃った。
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