ガーナ系アメリカ人DJのAkuaが初来日し、9月5日(金)、渋谷ライブハウスSpotify O-EASTとDJバー東間屋によるクラブナイトシリーズMIDNIGHT EASTに出演する(https://midnighteast.zaiko.io/e/akua)。LAで生まれ2015年にNYに移り住み、現在はベルリンを拠点に活動するAkuaは、USテクノの歴史の探究者であり、その膨大なアーカイブを卓越したセンスとミキシングスキルによって現代のテクノと融合させる。高速テクノが台頭する昨今だが、トレンドを排除した彼女のセットでは、主に90年代から00年代初頭のアメリカで生まれたロウなエネルギーに溢れたテクノのレコードを聴くことができる。Akuaは現在BerghainやFUSE、Dekmantel、Draaimolen、FOLDといったヨーロッパの主要クラブ/フェスティバルで引っ張りだことなっている。来日を目前に控えたAkuaにバックグラウンドからシーン内でのジェンダーギャップなどについてインタビューを試みた。
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ーまず、あなたがテクノのオリジネイターと言えるアーティストの作品を現代に昇華させ、世界中のダンスフロアにシェアしてくれている事に敬意を表します。あなたの今のスタイルを築くきっかけとなったシーンやアーティストを教えてください。
Akua「ありがとう! 歴史的背景からの影響でいうと、北米のテクノとハウスに影響を受けています。デトロイト、シカゴ、ニューヨーク、そしてアメリカ中西部全般のサウンドは、私のキャリアにおいてすごく重要な役割を果たしてきました。あとはベルギー、ドイツ、イタリア、オランダ、イギリスなどのアーティストたちがアメリカのアーティストたちと築き上げた、大西洋を越えた繋がりからも影響を受けています。私のサウンドは、そういう地域からの多くの要素を凝縮したものだと思っています。私のアプローチは、色んなスタイルのテクノを聴かせることが根底にあるので。影響を受けたアーティストだと、一番には亡くなったK-Handや、Jeff Mills、Robert Hood、Steve Rachmad、DJ Rush、Miss Djaxが挙げられますが、私のスタイルに影響を与えたアーティストは他にもたくさんいます」
ー日本でもここ数年世界で活躍する女性のDJは増えましたがまだまだ少ないと感じます。女性としてDJ活動をする上での難しさを感じたことはありますか?また、それらを打開するための貴方なりのアイディアがあれば教えてください。
Akua「正直な話、女性として、そして有色人種の女性として、キャリアにおいて困難を感じたことは事実です。キャリア初期の頃、私が第一にテクノDJであることを認める際に、人々が認知的不協和を感じていることに気づきました。私がストレートなテクノセットをプレイしている時でさえ、こちらに近づいてきてどんな音楽のスタイルをプレイしているのかと尋ねられたこともあって、すごくがっかりしました。時には、男性のDJと同じように大事に扱われていないと感じることもあって、何年もの間、彼らと同レベルの尊重や露出を与えられないという経験が数多くありました。それに対応するのは本当にイライラするし、疲れてしまいます。
過去10年間で、女性や非シスジェンダーのDJが段々と認められるようになってきたと思いますが、テクノシーンの中では依然として格差があることに私は気付いています。才能のある女性や非シスジェンダーのアーティストがたくさんいるにもかかわらず、男性だけのラインナップがいまだに存在しているのを見るのは嫌ですね。言いたいことはまだたくさんあるけど、シーン内での家父長制の存在についてよりオープンな議論が必要で、(特に男性から)公平な競争環境を築くためのよりさらなる寛容さが求められていると思います。でも、女性や非シスジェンダーのアーティストによるコレクティブやイベントがどんどん出てきていることは励みになります。こういう取り組みは、この問題への注目をさらに高めるのに役立っているはずです。それと、これらの問題についてオープンに話し合える、力強い女性や非シスジェンダーのDJの友人たちにも感謝しています」
ーニューヨークからベルリンに拠点を移すきっかけは何でしたか?
Akua「いつか外国に住みたいとはずっと思っていて、ベルリンへの移住は私にとって一番理にかなった選択でした。90年代から2000年代初頭にかけて、私が敬愛するアメリカのアーティストたちがこの街とつながりを築いたことに、私は常に感化されてきたし、自分もその流れを継承したかった。移住してから2年経って、この決断をしたことを本当に嬉しく思っています。だって、それが私のアーティストとしてのビジョンを再定義する手助けになったから」
ー世界中の様々な場所でプレイされていると思いますが、お気に入りのヴェニューやパーティーはどちらでしょうか? また、北米と欧州、それぞれのクラブ文化の違いをどのように感じていますか?
Akua「ニューヨークで今までプレイしてきた、そして今もレギュラーでプレイしているヴェニューは全部、私にとってとても特別な場所です。ブルックリンのBossa Nova Civic Clubは私がDJとしてキャリアをスタートさせた場所で、そこのレギュラーで得た成長に私はいつも感謝しています。BasementやNowadays、Paragon、Public Recordsにも感謝。彼らは現代のニューヨークのクラブカルチャー形成に大きな役割を果たしてきましたから。
ヨーロッパで2年暮らしてみて感じた、テクノにフォーカスしたオーディエンスの間にある一番の違いは、ヨーロッパ(特にベルリン)のテクノファンのテクノに対する期待が、より頑固だということです。彼らはテクノを形式的で画一的なジャンルとして捉える傾向が強くて、北米のお客さんほど実験的なアプローチに対して柔軟じゃない気がします。ちょっとびっくりしましたね、ヨーロッパにはクラブカルチャーの基盤がより整っているし、もっと探求する余地があるはずなのに。この状況が変わって、テクノがどんなものなのか、そしてどんな音なのか、という認識が進化し続けるといいなと思います」
ーあなたは90年代〜2000年代初頭のテクノのレコードをプレイしますが、普段どうやってレコードを掘っていますか?お気に入りのショップはありますか? ここ数年日本のシティポップが世界的なブームとなっていて、国内ではそのジャンルのレア盤を扱うショップは増えましたが、残念ながらテクノがメインのレコードショップはかなり減ってしまいました。
Akua「どこだって掘ります! Discogsでアーティストやレーベルの全カタログを隅々までチェックしたり、好きなアーティストのサイドプロジェクトを徹底的に調べるのも大好き。オンラインでディグモードに入ると果てしない旅になって、時々時間や開いているウェブサイトのタブの数を忘れちゃうこともあります(笑)。オンラインにある昔のセットやミックスを聴くのも大好きで、お気に入りのトラックIDを見つけるのも楽しいし。見つからない時は、私と同じようにテクノオタクの友達に聞いたり(笑)、特定のスタイルの中で直感で選ぶこともあります。
今現在はお気に入りのレコード店はないんです、私が買いたいレコードはめちゃくちゃピンポイントだから。最近、すごく良い掘り出し物を見つけたのは、ニューヨークのA1 RecordsとベルリンのBikini Waxx。ヨーロッパに引っ越してからはDiscogsで私と似たような趣味を持つインディペンデントなセラーと繋がったんだけど、彼らのプライベートコレクションを見せてもらえて超楽しいです。東京にいる間に良いレコードに出会えるといいな。オンラインで見た多くのショップには、私が大好きなレコードが大量に在庫されているっぽいんですよね」
ー日本に来るのは初めてですか? 日本でやってみたい事はありますか?
Akua「日本に行くのは今回が本当に初めて。日本のオーディエンスの前でプレイできることにすごくワクワクしています。聞いた話だと、みんなポジティブでオープンマインドだそうですね。日本とテクノには特別な歴史があることも知っていて、その一部になれるのが光栄です。街を探索したり、レコ屋巡りをしたり、商店街に行ったり、歴史的な場所を観光したり、ショッピングをしたり、とにかく(日本の)文化に浸ることが楽しみ。待ちきれないです! :)」
text Tomoko Naoshiima(https://www.instagram.com/moccorin/) & MAYUDEPTH(https://www.instagram.com/mayudepth/)
Akua
https://midnighteast.zaiko.io/e/akua
2025.09.05 (Fri)
at MIDNIGHT EAST (Spotify O-EAST 3F & AZUMAYA)
東京都渋谷区道玄坂2丁目14−8
OPEN/START 22:00
DOOR ¥4,000
ADV ¥3,000
U25 ¥2,500
LINE UP:
O-EAST 3F
Akua
Mari Sakurai
MAYUDEPTH
AZUMAYA
鏡民/Kyomi
lostbaggage
m-int (CCC)
Sht (Ready or Not)
※20歳未満入場不可、写真付き身分証明書をお持ちください。
※You must be 20 or over with Photo ID to enter.
会場 MIDNIGHT EAST (Spotify O-EAST / 東間屋)
https://shibuya-o.com/east/club/
東京都渋谷区道玄坂2丁目14−8
Akua公演 / NeoL読者ご招待
【募集人数】3組6名様
【応募締め切り】9月3日
<注意事項>
◆ご当選者様とお連れの方1名様のみお越しいただけます。
◆受付の際、ご本人様確認及び年恋確認がございますので、身分証のご持参をお願いいたします。
応募メールはこちらから。氏名/年齢/メールアドレスをご送信ください。(←クリック)ご応募お待ちしております。
Akua
https://www.instagram.com/akua_b_/
ガーナ系アメリカ人のDJ・Akuaは、北米のテクノに音楽的ルーツを持ちながら、世界中に響き渡る音のパワーを体現している。近年USで頭角を現した最も異彩を放つテクノDJの一人として確固たる地位を築いた彼女は、自らの活動を通じてテクノが持つ革新的で反逆的な精神を蘇らせる新世代のテクノアーティストの先頭に立ち、輝きを放っている。彼女の活動は、時代を超えた ロウで機械的な表現のアーカイブと活性化への熱意ある献身と言え、北米マシンファンクの新潮流を牽引しつつ、歴史の中でデトロイト、シカゴ、ニューヨークの DJ たちが生み出してきた革命的なサウンドに回帰している。最近になって、テクノの発展において重要な役割を果たしてきた街・ベルリンへ拠点を移したことは、彼女にとって、世界的なテクノムーブメントのインスピレーションの源となった大陸横断的な繋がりを再解釈し、そして自身のスキルをさらに発展させるチャンスとなった。
彼女の唯一無二で実直なスタイルは、現代のダンスフロアに必要不可欠で心に訴えかける強さをもたらしており、一時のトレンドを排し、そしてテクノの本質を、彼女の存在そのものに直感的に伝わる波長へと昇華させている。そんなAkuaの比類なきプレイは、現在世界各地で聴くことができ、BasementやNowadaysといったニューヨークの重要クラブのDJブースで卓越したスキルを披露したり、BerghainやFUSE、Dekmantel、Draaimolen、FOLDをはじめとするクラブやフェスティバルで歴史的なセットを繰り広げている。ヨーロッパのツアーサーキットで経験を積んだ彼女は、2024年、新たな方向へとキャリアを拡大し、アジアとオーストラリアでのツアーを通じて世界的な影響力を広げた。
豊富な知識と経験によって、彼女は魅力的なオールドスクールサウンドを自然に体現しながら、20世紀末のテクノ全盛期を体現する現代のプロデューサーたちの動向を常に把握している。彼女の無限のレガシーは年々広がっており、その素晴らしいミキシングスキルと、絶えず増え続けるクラシックスのレパートリーを通じて、目と耳の肥えたDJやダンサーたちから敬意と崇拝を獲得している。