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自然物の緊張関係や不完全性から導かれた具象と抽象を往復する絵画表現。ラファエル・バーダによる個展「Soft Embers of Becoming」




ライプツィヒを拠点に活動するアーティスト、ラファエル・バーダによる個展「Soft Embers of Becoming」がGALLERY HAYASHI + ART BRIDGEにて開催される。
ラファエル・バーダはドイツ南部に生まれ育ち、幼少期にはオーストラリア、アジア、ラテンアメリカなどで長期滞在を経験。多様な自然環境や人々との出会いを通じて培われた複数の視座は、彼の制作の根幹を成している。バーダは、私たちが向き合う自然とは、人間を含むあらゆる存在が、相反と均衡を繰り返す緊張関係の中で成り立っているものだと捉えている。また彼にとって絵画とは、常に開かれ続けるプロセスであると考え、完璧であることを求めず、むしろ不完全であることに重点を置く。こうした自然物の緊張関係や不完全性が、彼を具象と抽象を往復する絵画表現へと導き、鑑賞者それぞれの経験や感覚に静かに共鳴する作品を生み出している。





本展で発表される最新作において、バーダは、目に見える表層の下で静かに進行する変化の状態に目を向けている。一般に静止している、無機的である、あるいは生命を持たないと考えられているものの内部にも、実は微細な運動が絶えず起きていると考える。彼は劇的な変化や断絶の瞬間を描くのではなく、木の内部でほのかに灯り続ける熾火(Soft Embers)が、時間をかけて忍耐強く燃え続けるような、ゆっくりとした点火のプロセスに焦点を当てている。
バーダにとって絵画とは、形や色が固定されることなく、常に変化に開かれた場であると考える。色彩や質感、筆致の動きはあるときははっきりと前に現れ、またあるときはぼんやりと後退し、輪郭や焦点を曖昧にしたまま画面にとどまる。それらはお互いに反応し合い、重なり合い、まるで呼 吸をするように、静かに画面の中で息づいている。そこでは一つひとつの要素が、物質としての存在と、内側から立ち上がる生命のあいだを揺れ動き、その相反と均衡が、独特の緊張感を生み出している。
「Soft Embers of Becoming」を通じてバーダが提示するのは、物質は、ただそこにあるものではなく、内側に生命を宿し、周囲に影響を与えながらあり続ける存在として捉える視点。そこには完全に止まった物質はなく、ゆっくりと移り変わり続けている。バーダの絵画において、生命は時に力強く立ち現れ、また時にはかすかな熱や光として静かに留まりながら、鑑賞者を自身の内側へとゆっくりと導いていく。

Soft Embers of Becoming
ラファエル・バーダ

会期: 2026年2月28日(土)~3月28日(土)
開廊時間: 11:00 – 19:00(最終日17時まで) [休廊日] 日曜祝日休廊
入場料: 無料
会場: Gallery Hayashi
住所: 東京都中央区銀座7-7-16
オープニングレセプション: 2026年2月28日(土)18:00 – 20:00

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