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text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#38 ホメオパシー

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 これはガイドブックなので、それをどう読み解くかは本人の資質によってしまうのだが、本来は、最初に一時間ほどのカウンセリングをホメオパシーの専門家であるホメオパスの方にお願いし、そこで自分の精神状態、身体状態、過去のトラウマ、などを総合的に読み取っていただき、適したレメディを処方してもらうのがスムースなのだろう。
 僕は、これを書いている時点でまだホメオパスによるカウンセリングを体験していなのだが、受けた人の話によると、それこそカウンセリングで、泣いてしまったりしたそうだ。
 これは、身体の不調時での使用でも言えることだが、たくさんあるレメディの中から最適なものが処方できた時は効果はてき面で、手首の痛みがすぐに消えてしまったこともある。その一方で外した時は、何も効いていない感じがする。ホメオパスの方の能力や読み取り方もそれぞれなので、人と人との相性も不確定要素には違いない。
 それでも僕がホメオパシーを支持しているのは、それがやはり自然のものから抽出され、それを取り入れることで、自分の心身のバランスを再調整し、最適化し、自分で自分の面倒を見る力を高めていこうという積極的な姿勢があるからだ。つまり生命力を高めるという方向への支持に尽きる。
 体調を崩した時に、すがるように病院に行って何時間も待つよりも、身体だけでなく、精神状態にも気を配ることを日常化するという、その発想の健康さが素晴らしいと思う。
 生活し、生きていると、自分は常に固定化されることのない、揺れている存在だということを意識する。それは草木が風に揺れるようでもあり、波が寄せて帰るようでもあり、地球が宇宙を走るようでもあり、とにかく固定化されることが、いわゆる病と呼ばれる状態なのではないかと思う。
 僕は、健康であるために揺れたいと思う。新たな自分を得ることに逆らうことなく、緩やかに柔軟に揺れて、変化を受け入れ、古い自分を脱ぐ時に生じる、不調や痛みを、対症療法で抑えてしまうのではなく、むしろ痛みを出し切る方向を選び、僕は新しい僕を選び続けたいと思う。
 つまり、いつだって、さようならはこんにちはと訳されるのだ。



※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#39」は2017年2月26日(日)アップ予定。

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