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アカデミー賞最多7部門を獲得した『ゼロ・グラビティ』。その栄光の裏に隠された秘話を、主演のサンドラ・ブロックとアルフォンソ・キュアロン監督が語る。

GRAVITY

「フィンチャーは、『これはあと5年、7年したらやれるよ』と言った。最終的に彼は正しかったよ。すべてをやるのに5年かかったからね(笑)。」(アルフォンソ・キュアロン)



—この映画のビジュアルをどうやって思いつき、実際どのように撮影したのですか?


アルフォンソ:僕たちはディスカバリー・チャンネルのドキュメンタリーのように見せたかった。映画を見ているような心地にはしたくなかったんだ。僕たちは、長回しのカメラで、宇宙飛行士たちが仕事をしている姿を捉えているようなドキュメンタリーを目指した。いろんなことを試したよ。ボミット・コメット(急降下して無重力を訓練する飛行機のこと)もね。
彼女は飛行機が大の苦手で、それを怖がっていたけれど、『オッケー。そのやり方をしないといけないのであれば、やるわ』と言ってくれた。でも、結局それを実行するのは不可能だとわかって、自分たちのテクノロジーを開発するまで、いろんな可能性を探らないといけなかったんだ。
撮影監督のエマニュエル・ルベツキとビジュアル・エフェクト・スーパーバイザーのティム・ウェバーと、それをどうやればいいか解決法を考えるのに、打ち合わせを際限なく重ねた。(デイビッド・)フィンチャーは、『これはあと5年、7年したらやれるよ』と言った。最終的に彼は正しかったよ。すべてをやるのに5年かかったからね(笑)。


—この映画に参加して、宇宙に向かうことに興味を持ちましたか?
サンドラ:そういった欲望はないわ。だって“飛ぶ”ことはしたくないの(笑)。私がこの作品から得たことは、畏敬の念ね。宇宙がいかに大きくて、その世界で私たちがいかに小さいかということ。私たちは、自分たちのことだけしか考えていない。この世界から離れるまで、そういったことは見えないの。この世界には、できることや、経験すること、生き甲斐が山ほどある。たとえすべてが映画のセットでも、それを見渡せる場所からそういったことを垣間みることができた。自分たちがいかに人生を無駄にしているかということに恥ずかしくなったわ。


アルフォンソ:それは、僕たちが追いかけていたメタファー(隠喩表現)だよ。宇宙に行かなくても、僕たちは毎日、困難に遭遇している。交通渋滞でもなんでもね。そして人生には大きな不幸がやってくる時期がある。悲しくて辛いけど、それらは常に再生の機会になる。本当に生まれ変わるプロセスは、自分たちが重要だと考えていることが、実はそうじゃないことに気づくことと関わっている。人生は、コントロールできない。方向性は与えられるけれど、結局のところ流れに身を任せないといけないんだ。

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