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メトロノミーが語る、アナログにこだわった手書きの愛の手紙のような最高傑作『ラヴ・レターズ』が完成するまで(前編)

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—また、1969年にリリースされたフィフス・ディメンションの“アクエリアス/レット・ザ・サンシャイン・イン”も引用されていますが、このアイデアは?

ジョセフ「この先も生かしておきたい、ポップ・ミュージックの伝統だね。星占いや宇宙についての曲はかなりよくあるものだし、何かと流行するものだけど、宇宙旅行や神様などの話でなくても、歌詞にスピリチュアルな要素を加えてくれるんだ。これらの神秘的なところと、曖昧なところを楽しんでいるよ」

—ちなみに、現在はパリで生活されているとのことですが、そうした環境も今作の背景に影響を与えているといえますか?

ジョセフ「パリにいたことが役立ったとは思うけど、パリにいたからというよりもロンドンにいなかったからという意味の方が大きいね。ロンドンは音楽を作るには競争が激しい場所だから。それが素晴らしいことにもなり得るけど、ロンドンから離れたことによって、もっとリラックスすることができるんだ。パリではリラックスできた」

—“ラヴ・レターズ”のミュージック・ビデオ(以下:MV)はミシェル・ゴンドリーが手がけていますが、彼にオファーした理由は? 数々のMVや映画を制作しているゴンドリーですが、あなたが思う彼の映像作品の魅力とは? お気に入りの作品があれば、理由と併せて教えてください。

ジョセフ「ミシェルに作ってもらえると分かっていたなら、毎回彼に頼んでいたと思うけど、彼はもうミュージック・ビデオは作らないものと思っていたんだ。僕は彼の手がけたダフト・パンクのビデオを見て育ったし、スターダスト(※ダフト・パンクのトーマも一員だったフレンチ・ハウス・ユニット)はもちろん、ビョークやケミカル・ブラザーズに作った作品も大好きなんだ。とてもクリエイティヴでオーセンティックな人だね。特定のスタイルや、何がクールで何がそうじゃないかということよりも、アイデアに焦点を当てる人なんだ。それを尊敬しているし、自分の音楽も同じように作るようにしている」

—メトロノミーはMVやアーティスト写真、ステージ演出にも独特の美意識やコンセプトを感じさせますが、とくにこだわりを持っているポイントを教えてください。

ジョセフ「自分とバンドをポジティヴな形で描きたい、それだけだね。ヴィジュアル・アートは今までずっと音楽と同じくらい大好きだったから、自分の見せ方に気を遣うべきだというのは理に適っているんだ。歳をとったら、残されるのはCD、ミュージック・ビデオ、プレス用の写真、インタヴューだけだからね……孫たちが恥ずかしい思いをしないようにしたいんだ」

(後編へ続く)

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