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ロイクソップ『THE INEVITABLE END』インタビュー前編

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ーーそして、待望のアルバムが完成しました。アルバム制作はいつ頃からスタート?どこで制作したものなのでしょうか?

ロイクソップ「このアルバムは世界中を旅しているときに制作され、また地元ノルウェーのベルゲンでも作られた。アルバムのアイデアを一番最初に思い付いたのはいつか分からないが、”Sordid Affair”には何年にも前に作られた音楽のパーツが含まれている。他にも、昔からあったアイデアを今回のアルバムのトラックに使っている。トラックの大部分は2013年に作られたものだが、その中に、より古いアイデアが含まれているんだ。僕たちの音楽はそういうものが多いから、制作をいつスタートしたかという質問に答えるのは難しい。80年代の話だと通常バンドは作曲してから、スタジオに入り、2週間でアルバムを制作する。僕たちにとって制作とは継続的に行われているものなんだ。エレクトロニック・ミュージックを作る人たちの多くはそうしていると思う。始めの地点、というものが無いんだ。でも、終わりはある。音楽をリリースする時だ。だから、いつからというのがはっきりしない。長い間寝かせてあった古い要素も含まれているし、リリースの10分前に作った新しい要素も含まれている」

ーー制作過程における、過去作品との違いは? マテリアル、モチベーション両面から教えてください。

ロイクソップ「アルバムのプロダクションには、『悲しみ』という感性が含まれている。悲しいハイハットの音、というものが存在するのなら、そういうサウンドが今回のアルバムにある。悲しい音を出す楽器というと、バイオリンなどを想像するかもしれない。でも今回のアルバムでは、エレクトロニック・ミュージックの全ての音をよりダークに響かせるということをした。そこには『喪失』と『悲しみ』から来る美学が反映されている。アルバムの叙情性とインストルメンタルの部分が溶け合うように、意図的にそういう響きを出した。今回のアルバムが今までのロイクソップのアルバムの中で最も叙情的なアルバムだと思う」

ーーまた二人の制作の役割に変化はありましたか?

ロイクソップ「僕たちはお互いの役割をいつも行き来している。だから2人とも全ての役割を果たすことができる。今回のアルバム制作を経て、僕たちは、歌詞を通じて自分達を表現するだけでなく、アナログ・ヴォコーダーを通じて自分達の気持を表現するのが上手になったと思うよ。”Thank You”は、従来のヴォーカルと呼ばれる要素を一切含んでいない曲だ。使用されているのはヴォコーダーのみだ。それでも、誰かがリスナーのために直接歌いかけているように聴こえると思う。ヴォコーダーは大抵、ギミックやエフェクトのように使われるが、僕たちは、それを独特でソウルフルな『声』として扱った。それを成功させるには、ある種の見識が必要になってくると思う。僕たちにはそういう見識や成熟度も備わっていると信じている。ギミックとして使う気になるのではなく、表現の手段として使えていると思う。真の表現のために使用している」

(後編へ続く)

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RÖYKSOPP
『The Inevitable End』
11月8日発売
2CD
国内盤特典: ボーナストラック追加収録 / 解説書付きbeatkart: http://bit.ly/1rxtILo
amazon: http://amzn.to/1wa1loI
Tower Records: http://bit.ly/1BtKzjw
HMV: http://bit.ly/10bWWp0
iTunes: http://bit.ly/1xtFoT0

ROYKSOPP
ノルウェー・ベルゲンを拠点に活動している、トルビョルン・ブラントンとスヴェイン・ベルゲからなるエレクトロ・デュオ。1999年結成、2001年にデビュー盤『メロディーA.M.』を発表。収録曲である、キングス・オブ・コンビニエンスのアーランド・オイエをヴォーカルに迎えた「Poor Leno」や「Eple」などがヒットし、アルバムはミリオン・セールスを記録する。03年にはフジロックフェスティバルで初来日を果たす。05年になると、2ndアルバム『ジ・アンダースタンディング』をリリース。翌年、初の来日単独公演を敢行。09年には3rd『ジュニア』を、翌年にはインスト曲ばかりを収録した4th『シニア』を発表し、どちらも好セールスを記録。これまでのアルバムセールスは世界で250万枚を突破。今年5月にリリースされたロビンとのコラボ作『Do It Again』は、全米チャートにおいてノルウェー出身アーティストの史上最高位にランクインするなど、北欧を代表する存在である。

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