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text by Ryoko Kuwahara
photo by Shuya Nakano

OKAMOTO’Sのアドレス帳 番外編 R5 / Alesso / The Struts / Black Honye × Sho Okamoto (Summer Sonic 2016)



Black Honey × Sho Okamoto(OKAMOTO’S)
2016_ss_0123


イギリスから新たに飛び出した気鋭のバンド、Black Honey。この時代にバンドをやる意味を、国境を越えて語り合った。


——サマソニはいかがですか?

クリス「最高だね。ここにいるのが信じられないよ」

——初来日ですか?

トム「そう」

——他にはどんな国にいったことがあります?

イジー「韓国はすごく良かったわね。あとはオランダ、スランス、ミラノ、ドバイ……。ドバイはほんっとに凄かった。小さなクラブでのショーだったんだけど、皆クレイジーでヴァイブが最高だったわ」

トム「仕事だから旅行とはやっぱり違うけど、色々な素晴らしい場所に行けて嬉しいよ。各場所で色々と違いがあるし、一番驚いたのは、どの場所に行っても皆が僕たちに対してすごく優しいことだね」

——みなさんのお気に入りのアーティストを教えて下さい。

クリス「影響を受けているアーティストは本当に沢山いるよ。ビートルズ、ボブ・ディラン、ナンシー・シナトラ、カート・コバーン、本当に様々だね」

イジー「私たち、ビッグ・ソングが好きなの」

——みなさんの音楽は沢山の要素がつまっていて、音がすごくパワフルに聴こえる。90年代の音だけではなくて、色々な音楽の要素が感じられるところが面白いと思いました。

全員「ありがとう」

——曲は誰が書いているのですか?

イジー「曲作りは全員でやるの。歌詞とメロディは私が書くけど、プロセスには皆が同じくらい関わっているわ」

——スタジオでセッションしたりしながら?

イジー「そうよ。ささっと出来上がる時もあれば、なかなか出来なくて3日くらいかかる時もある。メロディや歌詞が出来なくて、スタジオにいる皆のところに行って助けてもらう場合もあるわ」

トム「逆もあるしね。あと、半年くらい寝かせて、また制作に取り掛かることもあるよ」

——アルバム制作にはもう取り掛かっていますか?

イジー「アルバムを作る作業自体はまだなんだけど、充分なマテリアルは揃っているわ。本当に沢山の曲が出来上がっているの。レコーディングもしていて、プロデュースも自分たちでやっているのよ」

クリス「その出来ている曲の中からアルバムに適したものを選んでいこうと思ってる」

——最近はどんなアーティストを聴いていますか?

イジー「テイム・インパラは聴いてるわね。あと、ケージ・ザ・エレファント」

クリス「ブラック・レベル・モータサイクル・クラブ」

イジー「ブラック・レベルは昔のバンドだけど、新しい作品が出ているの」

——ロンドンの今の音楽状況はどんな感じですか?

トム「僕たちはブライトンというロンドンから少し離れた場所に住んでるんだけど、ブライトンは最高なんだ。小さい街なんだけど、沢山のことが起こってる。一つのシーンじゃなくて、色々なシーンが存在しているんだよ。小さいライブ会場が沢山あって、毎晩どこかでショーをやってる。ロンドンも同じような感じではあるけどね」

イジー「でも、ブライトンの方が独自の世界があると思うわ。流行に流されすぎず、皆がやりたいことをやっていると思う。それってすごく良いことよね」

——不況の影響はありますか?

イジー「私たちも長い間苦戦しているの。一ヶ月前まで、フルタイムで仕事してたくらいよ。今やっと、それがパートタイムに出来ているの。それくらい大変ってこと。12時間働いて、その後夜にスタジオに行く、そんな感じね」

クリス「だからここにいるのが信じられないんだよ(笑)」

トム「そうそう(笑)オフィスじゃない場所にいる!みたいな(笑)」

——そういう人は多いですか?

トム「みんなそうしてるよ。もちろん音楽だけで食べている人もいるけど、そこまでいくには地道に活動を続けて成功しないとね。それでやっと音楽だけに集中出来るようになる」

——イギリスは不況の時に面白い音楽が出てくると言われていますが、今、何か面白い音楽は出て来ていますか?

クリス「そういう点で言えば、前はポスト・パンクみたいな特定のジャンルが盛上がっていたけど、今は既に出て来たジャンルのリヴァイバルだったり、ジャンルを超えた音楽の時代だと思うから、一概に何が面白いとは言うのは難しいな。一つのシーンや一人のアーティストではなくて、それぞれのシーンの中で色々なものが盛上がっていると思うよ」

——日本ではヒットチャートのトップ10にバンドはほとんど入らないのですが、イギリスではどうですか?

トム「イギリスでも同じ」

イジー「たまに入ったりもするけど、なかなか難しいわね。今はやっぱりEDMが人気だし。二つの全く違うものが同じ空間にいるのは、全然違う動物が一つの場所で暮らすみたいに難しいんだと思う。どちらかが勢いを増しているときは、もう片方はなかなか前に出れないのよ」

クリス「シングルチャートも、同じような曲が100回くらい一位になってるしね(笑)」

——そういう状況に対して戦おうと思いますか?それとも流れに任せる?

トム「もちろんそういう状況は嫌だけど、人の好みはそれぞれだからね。自分が好きじゃなくても、そういう音楽を好きな人もいる。だから、どうしようもないよ」

——では今のそのような状況で、みなさんが未だに楽器を弾き続ける理由は?

イジー「そのほうが誠実だと思うから。今の私たちの状況って、60年代のパンクに似ている部分があるかも。私たちはEDMから拒絶され、外されているわけだものね。でもやっぱり、楽器を演奏しないと本物じゃないと思う。プレイボタンを押すだけだと、音楽の重みがなくなってしまう。私たちがまだEDMが存在していない時期に聴いていたお気に入りの音楽も楽器を使っているし、それが私たちの世界であり、パッションなの。私たちがエレクトロニック・ミュージックを作ることはないと思うわ」

——最近、僕もそれをずっと考えていて。自分にとってはロックバンドを始めたことはすごく自然なことで、そういう音楽が好きなことは当たり前だったんでしたが、今はあまりバンドが好まれない。それがすごく残念です。

イジー「やっぱり、演奏することって楽しいよね。ギターを手に取る感触っていつになってもいいものだし」

トム「ただボタンを押してリズムを作るだけじゃ、面白くないと思うんだ」

クリス「楽器を使って自分の手で音を出す事で、音を作ることに対する喜びが増すと思うよ」


photo Shuya Nakano
interview Sho Okamoto(OKAMOTO’S)
text & edit Ryoko Kuwahara


Black Honey
“Hello Today”
https://itunes.apple.com/jp/album/hello-today-single/id1156087603?ign-mpt=uo%3D4



Black Honey
ブライトンで結成された4人組。結成間もないにもかかわらずイギリスでのライヴはソールドアウト。日本でもサマーソニック2016の出演を果たす注目株。
https://www.facebook.com/BlackHoneyUK/?ref=page_internal


blackhoney
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