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text by Ryoko Kuwahara

宇宙特集:画家・淺井裕介インタビュー

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淺井裕介 Yusuke Asai
祝福のダンス Earth Painting – Blessing Dance
2011
h.310 × w. 415 × d.630 cm
現地で採取した土、水、藁灰、藁、牛の糞、レンガの粉
Soil that collected local area, water, straw ashes, straw, cow dung, powder of brick
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO and Wall Art Festival 2011
Photo by Kenji Mimura


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泥絵制作風景 photo by Hiroyuki Hattori 
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


——それからはその土地土地の泥を使って描いている。


淺井「泥絵を始めて今年で10年目なんですが、2015年の東京都現代美術館の展示あたり(《全ての場所に命が宿る》「未見の星座〈コンステレーション〉—つながり/発見のプラクティス」)が初期の集大成だと思います。今まで自分が出会った土を全部混ぜて作って。本来ゆっくり時間かけて旅をしている土というものを、僕が旅させて出会わせていく。そういう新たな試みをあそこで始めました。それまではおっしゃるように、基本はその土地に行ってその土地で出会った土だけで描く。与えられた色で描ける絵を描くというすごくシンプルなことをしていたけれど、いろんなところで土を掘ってると余った土が家にどんどん溜まっていくんですよね。それを自分が持ってる意味を考えていて。例えば、青森で掘った土を次の現場の富山に持って行って、両方の土を混ぜて描いて。そして富山の土はまた次のどこかに持って行く、それができるのは今自分だけなんじゃないかと思うと、それは結構おもしろい。見る人が見るとただの同じような土なんだけど、僕が見ると高知と福岡と青森が隣り合っているのがわかるんです。記憶や愛着というか、『誰々さんが育てた大根』と知りながら食べる野菜に近い。この素材はいつどこで掘って生成したかを知っているということは、誰がどこで育てた素材という背景がある中で作られる一皿の料理を食べるような喜びに近いのかなと感じています」


——そういう風に意識が変わったのはなぜなんでしょう。


淺井「単純に泥が溜まってきちゃったのが大きいと思います(笑)。環境が変わると考え方も変わる。考えて動いていくよりは、その時出会ったものを大切にしたいんです。
あと、時間が経つと鮮度みたいなのがどうしても落ちていくじゃないですか。最初は驚きとして周りの人たちに受け入れられてきたのが当たり前のようになってくると、違うことをしたくなるんですよね。美術家はやっぱり、『え!』とか『それいいんだっけ?』ってことを起こすものというか。最初は『土なんかで絵がかけるんだ、それで描いた絵を消しちゃうんだ』というのが僕も楽しかったし、受け入れる人にも驚きとして存在していたのが、『土で描く人ですよね、消しちゃうんですよね』となると、絵の具も混ぜちゃうよ、違う土地も混ぜちゃうし、しかも残すよとなって、逆に『えっ、残すんだ』と予測を裏切ってみたり(笑)。まあ、時間と量と素材との出会いという単純な理由です(笑)」


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全ての場所に命が宿る(東京都現代美術館)2014 photo by Maki Taguchi
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


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全ての場所に命が宿る(東京都現代美術館)2014 photo by Maki Taguchi
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO


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全ての場所に命が宿る(東京都現代美術館)2014 photo by Maki Taguchi
©Yusuke Asai, Courtesy of URANO

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