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text by Junnosuke Amai

Interview with Mogwai about『Every Country’s Sun Sun』



——ところで先日、今回の〈ホステス・クラブ・オールナイター〉に同じく出演したビーク>/ポーティスヘッドのジェフ・バーロウにインタビューする機会があったんですね。そこでジェフが、この前の〈レディング・フェスティヴァル〉を観ていた感想として、「この先、何万人という観客の前でギター・バンドがプレイすることは増々難しくなっていくんじゃないか」みたいなことを言っていて。


スチュアート「たしかにジェフの言うことは一理あるよね」


ドミニク「昔とは全然違うよね。メインストリームのバンドが主流になりつつあって、〈レディング〉みたいな大型フェスでギター・バンドが出演するのは年々難しくなってるのかもしれない。ただ、その一方で、ギターとかフォーク系のバンドが主体の小規模なフェスみたいなものもあちこちで行われるようになってるし、そこまで悲観してないというか。とりあえず、うちのバンドに関しては、おかげさまで一応、毎年夏はフェスでスケジュールは埋まってるんで(笑)」


スチュアート「ただ、たしかに残念だよね。自分もまだバンドを始める前は〈レディング〉に通ってたし。91年に初めて〈レディング〉に行って……ちょうどソニック・ユースやパンクがブレイクしたときで、めちゃくちゃ感動して盛り上がって、それで自分もバンドをやるようになったくらいで。その後、自分も実際に〈レディング〉や〈プッケルポップ(・フェスティヴァル、ベルギーで開催)〉のステージに立つようになって……〈プッケルポップ〉ですら、昔とは全然違うフェスになってるもんなあ……。去年、モグワイじゃなくて、別のプロジェクトのマイナー・ヴィクトリーズでプッケルトップに出演したんだけど、そのときのトリがリアーナで、随分変わったもんだなって。なにもリアーナ自身をディスってるとかじゃないけど、ただ、自分が初めてフェスに通い出した頃とはだいぶ時代が違ってるんだなって実感したよね。たしかにドミニクが言う通り、レディングとか大規模なフェスになると、メインストリームの有名どころが年々主体になってきてるし……まあ、フェスが有名になるにつれて、もっと規模を拡大していかなくちゃいけないっていう運営側の事情なんかもあるだろうし、それもわからなくもないんだけどね」


——昨年アナウンスされた〈オール・トゥモローズ・パーティーズ〉の閉鎖は、そうしたギター・バンドや「インディ・ロック」が現在置かれている状況を象徴する出来事だったと思うんですね。モグワイは〈オール・トゥモローズ・パーティーズ〉の初回(2000年)のキュレーターを務めていたわけですけど。


スチュアート「そう、残念だったよね。〈ATP〉のオーガナイザーは友人でもあって、相当苦労してたみたいだし、友人として僕達も見てて辛かったというか……うん、何とも言えないよ」


ドミニク「〈ATP〉は特別だったし、他に変わるようなイベントがないからね。大きな穴がぽっかり空いてしまったというか」


スチュアート「〈ATP〉みたいな感じで、別のキャンプ場式のイベントの企画があったみたいだけど、それも結局キャンセルされちゃったみたいだし。うん……それは残念だよね。日本だと今回の〈ホステス・クラブ・オールナイター〉みたいなイベントがあるけど、ヨーロッパでこのラインナップでのイベントは年々希少になってるよね」


——ジェフも同じようなことを言ってましたね。


スチュアート「それに今はストリーミングのほうが脚光を浴びるようになって、音楽雑誌を読んだりCDを買ったりする人のほうが少数派なんだろうし。今の時代は、昔よりもずっとたくさんの音楽にアクセスできるようになって、音楽を聴く人口は圧倒的に増えたけど、その土台を支えるシステムのほうはなかなか活路が見出せなくて苦戦してる状況だよね」


——ちなみに、いまのグラスゴーの音楽シーンってどんな感じなんですか。


スチュアート「充実してるよ。残念ながら勉強不足で、ほんとはもっとよく知っておくべきなんだけど。こないだSACRED PAWSってバンドを観たけど、すごく良かったし、他にもいろいろ盛り上がってる。小さなハコがまだたくさんあって、新しいバンドは毎週演奏してたりとか、音楽をやるためにグラスゴーに移住してくるミュージシャンもたくさんいるし、すごくいい感じだよ」


——じゃあ、グラスゴーの未来は明るいですね。


スチュアート「うん、まさに。ただ、自分達はレーベル(〈Rock Action Records〉)をやるだけで手一杯で(笑)、その上さらにプロモーターに手を出すのはさすがにちょっとやりすぎだしね(笑)」


interview Junnosuke Amai
edit Ryoko Kuwahara


Mogwai /Every Country’s Sun(jake-sha)
Mogwai
『Every Country’s Sun』
発売中
2,490円+税
トラックリスト
1.Coolverine
2.Party In The Dark
3.Brain Sweeties
4.Crossing The Road Material
5.aka 47
6.20 Size
7.1000 Foot Face
8.Don’t Believe The Fife
9.Battered At The Scramble
10.Old Poisons
11.Every Country’s Sun
12.Fight For Work*
*日本盤ボーナストラック
(Rock Action Records / Hostess)


Mogwai
1995年にスチュアート(G)、ドミニク(B)、マーティン(Dr)、バリー(Vo, G, Key)で結成されたポストロック界で最も影響力を持つ重鎮バンド。97年のデビューから現在までに8枚のスタジオ・アルバムを発表。フジロック’06でのトリや、メタモルフォーゼ’10では圧巻のステージを披露し話題に。11年2月の日本公演では2公演をソールドアウトにし、また同年のフジロック’11ではグリーンステージに出演。変わらぬ人気の高さを証明した。14年1月には、約3年ぶりとなる8thアルバム『レイヴ・テープス』をリリース。同年2月のHostess Club Weekenderでヘッドライナーを務め、8月にはソニックマニア、そしてサマーソニックにて再来日を果たした。15年10月、ベスト・アルバム『セントラル・ベルターズ』を発売、翌年4月にサウンド・トラック『アトミック』を発売し、その翌月には3都市をまわるジャパン・ツアーを開催した。17年8月にはHOSTESS CLUB ALL-NIGHTERにヘッドライナーの1組として出演。

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