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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#23 ホ・オポノポノ

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人間の記憶には、これまで生物として進化してきた記憶が全て保管されていて、今を生きるということは、その膨大な記憶のどこかを引用して投影しているに過ぎないというのがホ・オポノポノのベースになる考え方だ。例えば恋人が浮気をしているとする。それはかつてのそういう場面を人類の共有する巨大図書館から抜き出して読んでいるようなもので、それを現代の今の場面に投影していると解釈する。この辺りは、とても深遠で説明に一冊必要だが、ここでは、そういうことになっているんだと留めて話を進めよう。

その膨大な記憶の中から必要のないネガティブな記憶を消去することで、ネガティブな現実の場面に出会わなくなるという仕組みになっている。その消去、クリーニングのために使うのが、先に挙げた4つの言葉、ありがとう、愛してます、ごめんなさい、許してください、だ。

懐疑的な人は、馬鹿馬鹿しく思うかもしれない。理論的な人は、現実は記憶の投影に過ぎないという点に引っかかるだろう。

だが、物は試しである。これをやったからといって、高額な壺を買う羽目になるわけではないし、伝統と継承とアレンジがある分野には、何かしら得る物があるだろうと好奇心を持って接するのは楽しいと思う。

もう少し話を進めよう。

ホ・オポノポノのポイントは、全てのトラブルは記憶をクリーニングすることによってなくなるということだと先に述べた。

とにかく、4つの言葉を順番など気にせずに、心の中で唱える時間をより多く持つことによって、いつの間にかトラブルのない生活が送れていることになるのだと解釈し、いわば呪文のように使えばいいと思う。

自分の場合、最初の頃は「許してください」がすっと出てこなかった。いったい何か悪いことをしたのだろうか?何に対して謝っているのだろうか?

だが、そんな疑問は置いておき、思いを込めたりもせずに、ただ心の中で唱え、時には声に出して唱えたりしているうちに、自然と馴染むようになった。気づけば、この4つの言葉を唱えたあとは、なんだか心がすっきりしているのだった。マントラ的な効果と言えるだろう。謙虚で清々しい気持ちになれるだけでも、この4つの言葉は素晴らしいと思う。

個人的に感じた実際の効果としては、唱えている期間は確かに穏やかに過ごせているようだ。逆に唱えるのを忘れている時は、感情の起伏が激しかったり、ストレスに弱くなる傾向があることが分かった。やはりホ・オポノポノは何かがあるようだ。

またトラブルの原因を、他人に求めることがなくなるので(全ての原因は記憶による)、あくまで自分の記憶をクリーニングすることに徹することになる。それはとても平和的な問題解決方法で、当人を交えずにいつの間にか問題そのものが消えてしまうという古代ハワイの教えの素晴らしさを感じられる。
3ページ目につづく

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