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感動にリアリティをもたらすのは?

lion

本作は少年がGoogleマップで生き別れた家族を探すという実話が元となっている。
「感動の実話」という使い古されたフレーズに白々しさを覚えたのもつかの間、気付いたら時間が過ぎるのを忘れるくらいのめりこんでいた。
家族を見つけることを決して諦めなかったサルー、それを支え続けた恋人ともう一つの家族の姿に、果たして自分は家族や友人との関係をこれほど真摯に築けているだろうかと、人との繋がりの尊さを改めて考えさせられる。

また、Googleマップという現代らしいツールを用いて描かれるストーリーは、インターネットがどれほどナチュラルに我々の生活にあるかというリアリティを持っている。デジタルは人と人のつながりを希薄にするような冷たいものである、いや、そのツールがあるからこそ生まれる感動や交流があるーー様々な論争はさておき、道に迷ったらGoogleマップを起動させるという日常の延長線にこの物語はある。そしてそれが「感動の実話」を実話たらしめているのだと思う。





『LION/ライオン ~25年目のただいま~』
4月7日(金) TOHOシネマズ みゆき座他全国ロードショー
インドのスラム街。兄と遊んでいるうちに停車中の電車で眠り込んでしまった5歳のサルーは、遥か遠くの地に列車で運ばれ、そのまま迷子に。25年後、養子に出されたオーストラリアで成長したサルーは、人生の穴を埋めるため、そして未だ言えずにいる「ただいま」を伝えるために、家を探し始める。手がかりはおぼろげな記憶と、Google Earth。1歩近づくごとに少しずつ蘇る記憶のカケラは、彼の人生の穴を埋め、次第にこれまで見えなかった真実を浮かび上がらせていく。大いなる「探し物」の果てに、彼が見つけたものとは――。湧き上がる圧倒的な感動に、笑顔と涙が溢れ出す、驚愕の実話。(Miki Suzuki)


製作:イアン・カニング『英国王のスピーチ』 / 監督:ガース・デイヴィス 
出演:デヴ・パテル『スラムドッグ$ミリオネア』/ルーニー・マーラ『キャロル』/
ニコール・キッドマン『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』/デヴィッド・ウェンハム 『オーストラリア』
配給:ギャガ  提供:ギャガ、テレビ東京  ©2016 Long Way Home Holdings Pty Ltd and Screen Australia

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