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text by Ayana Waki

.nl issue:オーディオ愛好家のバー、レコードショップ、商品開発などの新しいベンチャーに進出する、実験的メンタリティを持ったオンラインラジオRed Light Radio/ interview with Hugo van Heijningen, founder of Red Light Radio


 
オランダのクリエティヴ業界を盛り上げているアーティストたちを取り上げる「.nl Issue」。近年、多くの国が国境を閉鎖しナショナリズムが高まり、世界共通の言語でもあるアートを通して団結することが以前よりも重要となってきている。NeoLでは、現在の状況と予測不可能な未来のために、議論ができる空間を様々な形で人々に提供するアーティストやアクティビストへのインタビューに取り組み続けている。本特集では、限界に挑み続け、フロントランナーとして走るオランダに在住するアーティストを紹介し、国の魅力についてはもちろん、今現在の環境、社会構成、政治などの問題を乗り越えるために必要とされる緊急性と行動力を喚起したい。
2010年、Hugo van HeijningenとOrpheu De Jongは、実験的メンタリティを持ったRed Light Radioを発表した。10年が経過してもなおステーションが同じDIYアプローチを保持していると彼らは誇っている。このオンラインラジオ(Dekmantelなどのフェスティバルなどをプログラムし、最近ではRecreo Festivalのためにチリから番組を放送している)が、まだ3人のフルタイマーと少数のボランティアによって運営されているとは! アムステルダムの街の高級化が進み、多くの文化的先駆者たちが仕事を見つけるのに苦労するなか、制度に縛られていない自主性を持ち、急増しているオンラインのラジオプラットフォームのパイオニアとなるユニークな存在だ。Red Light Radioは、ここ数年でオーディオ愛好家のバー、レコードショップ、商品開発などの新しいベンチャーに進出。それらがすべてがどのように始まったか、そしてこれからの未来について語ってくれた。(→ in English

 
ーー2010年にRed Light Radioが設立されてからほぼ10年が経ち、現在ではレコードショップ、商品開発、バーなど、他のベンチャーにも進出しています。これら多様な文化的動きの原動力となるものはなんでしょうか。
 
Hugo「もちろん音楽です。 “Let’s see how it goes(どうなるか見てみましょう)”は、私たちが過去10年間言ってきたこと。最初は数か月すら続くかわかりませんでした。3か月後に契約が数か月延長され、1年、3年、5年になりました。ビジネスを運営する方法を私たちが何も計画しなかったということではないのですが、その時々で私たちが持っているものを最大限に活用することが大事なんです。その考え方はずっと変わりません。だから、Red Light Radioは依然としてDIYなプロジェクトなんです」
 
ーーあなたはニューヨークのEast Village Radioに触発されたそうですが、特にユニークでRLRに組み込む価値のあると思ったものは?
 
Hugo「私は音楽を通して人々をつなぐのが好きです。ある時、ドキュメンタリー映画のインタビューをすることになり、East Village Radioでショーをするアーティストを待っていたことがあって。残念ながら彼は姿を現さず、パンクショーからジャズの生演奏に切り替えられ、その翌日にイーストビレッジのラジオを通り過ぎたらエレクトロニックミュージックが流れていました。そこを通り過ぎるだけで地元の音楽シーンを垣間見ることができるなんてとてもクールだと思い、アムステルダムでも同様のことをやってみることにしたんです」
 

 
ーーステーションは歓楽街の通りにありますがここに設置することにしたのはなぜですか。また、RLRの存在がこのストリートをより多くの聴衆にアピールするのに役立っていると思いますか?
 
Hugo「Red Light地区はスペースを文化的イニシアティヴのために貸し出そうと、アーティストを探していました。セックスワークがこの歴史的中心部で起こっているべきものであっていいのかという、約20年の間続いている議論もありました。人身売買、そして人々の意に反して物事が行われているということについてです。何が現実で何が現実ではないのかはわかりませんが、地区がいくつかの建物を購入し、近隣を変えようと売春宿のライセンスを剥奪していたことは知っています。観光客のためだけでなく、このユニークな魅力を持ったアムステルダムのスペースのために、ラジオ局を設けるのは良いことだと思ったんです。もともと売春時間に使用されていたこれらのスペースのサイズはラジオ局に最適で、非常にうまく機能しましたよ。
より多くの聴衆にアピールするという点では、レコード店がそういう機能を果たしていると思います。多くの人がレコードを探しに来たり、ラジオメーカーがショーを行ったりするので、建物や音楽スタジオのために、通常は歓楽街に来ない人がたくさん来ています。一方、過去10年間で観光客の数は完全に手に負えなくなってきました。地元の人も増えてきましたが、それと同時に観光客も増えて賑わっており、バランスが悪いと感じています」
 
ーーオンラインストリーミングサイト、Youtube、Soundcloudなどの音楽メディアプラットフォームの数が増えていますが、今の社会でラジオ放送が果たす重要な役割は何だと思いますか?
 
Hugo「Soundcloudが登場した10年前、ミックスを作成して共有し、さまざまなデバイスで再生できるのは嬉しかったです。オンデマンドでプレイするために、広告が途切れることなく流れていましたけどね。オンラインは、昔ながらのラジオのやり方よりもはるかに優れていると思いました。興味深いのは、Soundcloudにはライヴストリームよりもはるかに多くのリスナーがいるということです。Facebookのライヴが始まったとき、私たちは実装するのが非常に速かった。Facebookでライヴ配信することで、ボイラールームよりもさらに高速だったと思います。初期の頃、まだ有名でないローカルDJが何百万もの人々に音楽を届けることができて、信じられないくらい嬉しかったのです。本当に素晴らしい時間でした。現在、Facebookのアルゴリズムはライヴストリームを推進していないため、ウェブサイトの存在をアピールするくらいしかやっていません。私たちは常にメインプラットフォームをSoundcloud、facebook live、webサイト、アプリから切り替え、人々の好みに合わせています。誰もが自宅にラップトップを持っていて、誰でもチューニングできます。シグナルがあればショーのクレイジーな音楽を聴くことができますが、気に入らなければスキップして自分のことをやることができます。ソーシャルメディアでは、スタジオに素敵なアーティストがいるかどうかを確認し、日程を調整することができます。だから私たちはたくさんのアウトレットを持っていて、誰もが快適に感じることができる方法を見つけるために時代とともに変化しようとしています。それが始まりであり、今まで残っている方法です」
 
ーーRLRはオンラインラジオのパイオニアだと思いますか?
 
Hugo「いいえ。Dublab、Intergalactic FM、East Village Radioは以前からオンラインラジオを行っていて、非常に未来的でした。しかし、The Lot、Mutant、Kioskなどの世代のオンラインラジオ局の中では、RLRはある意味でパイオニアだと思います。ロサンゼルスのDublabも以前からやっていたし、絶対的な自信を持って言うことはできませんがね。何はともあれ突然生まれた新しい種類のラジオメーカーたちの一部になれたことには感謝しています。これらのラジオ局すべてとコラボレートしており、私たちの間に築かれたコミュニティが強力であることも素晴らしいことです」
 

 

 
ーーリスナーからのフィードバックは重視していますか?もしそうなら、世界の各地で聴いている人から受け取ることができる最高の褒め言葉は何ですか?
 
Hugo「世界中に素晴らしいファンがいてくれます。一部のラジオ局は否定的なコメントをもらうようですが、私たちは非常に優れたリスナーと、私たちのラジオ局を愛する人々からの肯定的なフィードバックを得ています。それらは私たちがしていることを続けるエネルギーを与えてくれるんです。プログラムについて質問がある場合はラジオメーカーに連絡することができますし、私たちが受信トレイでメッセージを受け取った場合、彼らはDJと直接話すことができます。私たちはグローバルコミュニティを作っていて、めったに否定的なコメントを受け取りませんが、そういうものをもらった時でももちろん真摯に耳を傾けますよ」
 
ーー他の多くの芸術家は、アムステルダムの都市化が進んでいて自由が失われつつあると感じているようです。都心にあるラジオ局としてもそう感じますか?
 
Hugo「同意しませんね。私たちは独立しており、政府からの助成金は受けていません。これは私たちが10年間やってきたことです。RLRは独立しているので、その意味でも非常に自由なんですよ。しかし、それらの意見もわかります。スペースの不足は創造性にとって良くないと思いますし、不法占拠を違法にする法律の犠牲になっている部分もあります。私は非常に実験的な時代に育ちました。そこでは不法占拠されたセンターがあり、人々が実験的に好きなことをすることができるかなりのスペースがありました。だから、もうそうではないのは残念だと思いますよ。Red Light Radioはユニークであり、自由なスペースであるからこそ必要とされているのです」
 
ーーレッドライトラジオは10月に東京に来ますね。長らくの夢だとおっしゃっていましたが、日本の魅力は何ですか?

 
Hugo「私は日本に2度行ったことがありますが、とても気に入っているんです。日本とのつながりはとても深いと思います。ヨーロッパと比べて非常に異なることがおいので、非常に興味深い。日本の音楽やDJも大好きなので、ぜひ訪れるべき場所ですよね。初期から私たちのステーションを聴き続けている日本人のリスナーがいるので、日本の音楽シーンに足を運んで、彼らの存在を知らしめるために私たちのプラットフォームに参加してもらうのも素晴らしいでしょう。あと、美味しいものも食べられますしね(笑)。Orpheuと私は日本から発信されるものの大ファンであり、来日できるのを心待ちにしていたのでとても興奮しています」

 
 

 
 
text Ayana Waki
 
Red Light Radio
Red Light Radio is an online radio station and international music platform based in Amsterdam’s Red Light District. Since 2010 RLR broadcasts daily shows of local and international artists, does parties & concerts and collaborations with festivals, museums & other cultural partners all over the world.
http://redlightradio.net/
https://www.instagram.com/redlightradio/

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