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BOMI ”さよならミゼラブル” インタビュー

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——うん、そういう曲ですよね。そんな閉塞感に満ちた状況でもライブは新しい編成ですごくポジティブにやっていたと思うんですけど。どういうところでモチベーションを保っていたんですか?

BOMI「モチベーションを保てたのは音楽と違うことをやったからかな。夏にはお芝居のワークショップに行ってみたりとか。そのときに熊切(和嘉)監督に出会って。私のお芝居をすごく褒めてくれたんですよ。それで『私はやっぱり表現することがすごく好きなんだな』と思って。そういう音楽とは別の方向から自分の意志を再確認できたりして」

——音楽以外でもアウトプットできることがあればしたいし。

BOMI「そうですね。あとは、単純にお芝居をするのが楽しかった。私は感情の起伏が激しいから、日常生活ではそれをあまり表に出さないようにしてるんですよ。だから、お酒を飲んだときとかにひどくなるんですけど(笑)」

——あはははは。

BOMI「でも、お芝居ではその感情の起伏をそのまま表現できるんですよね。『泣け』って言われたらどれだけ泣いてもいいし。そういうおもしろい発見がありましたね」

——役者にはいろんなタイプがいるじゃないですか。憑依型だったり、徹底的に役を作り込む人もいるし。自分はどちらだと思いますか?

BOMI「私はたぶん憑依型なんだと思います。演技が技巧的にうまいとかそういうタイプではなくて、自分のなかで役と同じ要素がある部分を増幅させるというか。だから楽しいんだと思うんですよね」

——たとえばそれは作詞作業に通じる部分もあったりしますか?

BOMI「どうだろう? 歌詞は自分で書きながら誰かに投影させるけど、お芝居は役があってそこに自分を近づけていく感じだから。アウトプットのあり方としては逆かもしれないですね。でも、スイッチを入れる感覚がライブと近いものがあるんですよね。ライブもカチンコが鳴る瞬間みたいなものが自分のなかであって」

——芝居のワークショップを経験して、ステージングに反映されたこともあるんですか?

BOMI「力を抜いてライブができるようになったんですよ。三宅さんのイベントに出させてもらったときは緊張しちゃっていい部分も悪い部分も全部出たライブだったなって思うんですけど、そのあとに出た宇宙まおちゃんの企画のイベントでやったライブは今まででいちばんいい感触があって。マインドがすごく安定していて」

——でも、熱量は高くっていう。

BOMI「そう。熱量はちゃんと高くて歌も前に出ていて。あのライブでつかめた感じがありましたね」

——現在のバンド編成になったのはいつごろですか?

BOMI「今年の5月くらいですね。ずっと自分のなかでバンドをテコ入れしたい気持ちがあったんですけど、なかなかできなくて。でも、自分のプロジェクトなんだからちゃんと自分で舵をとらなきゃいけないって気持ちがどんどん強くなっていったんですよね。それで、前のバンドは一旦ストップして、あらためて“BOMIってなんだろう?”って考えたときに男性メンバーで固めて、同期込みの最小限の編成でやりたいなと思ったんですよね。ギターのナッツくんは前のバンドでもたまに弾いてもらってたんですけど、彼のマインドはすごくよくて。彼がいるとバンドがすごく明るくなるし、私は気分がすぐ上下するから助かるんですよね。リズム隊は80kidzのサポートをやっている2人で。サカナクションのエンジニアをやってる浦本(雅史)さんに紹介してもらったんですけど。若くて、演奏もうまくて、同期モノが得意な2人ということで。ベースはシンベも弾けるからすごく助かっていて。今のメンバーでライブをやることが私のなかですごく意味のあるものだなって最近強く思ってます」

——今のバンドはBOMIちゃんがどんな音をバックに歌いたいのかがありありとわかるというか。それは自分主導でやったからこそ得た環境ということですよね。

BOMI「うん。私はもともとすぐに人に合わせてしまうところがあるから。なるべく人とモメたくないし。でも、そういうコミュニケーションの取り方をしているとあとで後悔することが多いんですよね。だから、最近は思ったことをちゃんと発言することを心がけていて。今はプラスのエネルギーでちゃんと動けてる気がします。あとは、夏にストレスを溜め込まないようにプールに通って水泳をしたりしてました(笑)」

——意識的に心身ともに健康であろうとした。

BOMI「自分から努めてそうしないとどうしても陰鬱になってしまうし。だって、作ったものはすぐに出したいのが本音じゃないですか」

——タイムラグが生まれるときついですよね。

BOMI「そう。タイムラグが生まれると心も遠くなってしまうから」

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