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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.7  柳川荒士(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)×オカモトショウ(中編)

ショウ「本当にそう。大多数を掴むいろいろな手法があるのは知っているんです」

柳川「お互い長い間やっていればやり方はわかりますよね。でも、そこを取りにいくにはまだ早い。自分たちが改善すべき点が目に見えてあり、そこにできることが転がっているのに、なぜそれを潰してまで80人を取りにいかなければいけないのかと思う。それが我々の一番苦しいところでもあって」

ショウ「もちろんそのやりたい世界観が外にもちゃんと伝わるようにすることは大切だと思うんですよ。『自分って何? OKAMOTO’Sって何?』となった時に、言葉で説明できる部分とできない部分があるじゃないですか。やりたいことに関してもそう。それを少しでも相手にわかりやすい場で伝えられたり、伝えられる音楽にすることは大事。だけど、それと80人を取りにいくというのは全然別物で、寄せていくことではないと思っています」

柳川「そうやりながら、引き込むくらいのエネルギーは持ちたいなとは思いますけど」

ショウ「そう。最終的には自分の理想を伝えたいと思うし、それで大きくなっていったらそれが一番いいと思います。大勢に認められるのは一つの評価なので、野心としてはもちろんそうなりたい」

柳川「JLSはわかりづらいと思うんですよ。難解にしたいとか、それが大切だと思っているわけではないけれど、自分たちの色を持ちつつチャレンジしていくとどんどん難しくなっていくんですよね。進化して、周りがやらないことに挑戦していかないといけなくなるから。だからメディアや情報を基準にものを見てる人たちには独特のブランドだと感じさせてしまうかもしれない。今はこういう音楽の流れで、こういうものがおしゃれだというようなパターンが世間にはあって、そういうものは消費されていく。それは僕からすると美しくないんですよ。残っていかないと意味がないじゃないですか」

ショウ「寄せていくのが嫌だというよりも、消費されて残らないのが一番嫌ですね」

柳川「時代感というものはあるし、ビジネスとしてやらなきゃいけないこともある。でも時代感からずれていてもどう自分たちらしく態度を持ってやっていくかを考えないと、長い歴史の中に残っていくバンドにもブランドにならない。実際、今すごく尊敬しているバンドやブランドは、過去を振り返った時にやっていたことの筋が通ってる。ずっと態度を貫いて、その進化の延長線上で、時代にマッチした時にブレイクしたり、長い間時間が経った今でも活躍していたりするんですよね。OKAMOTO’Sが今のポジションに自分たちの色を持って立てたことは、ある意味選ばれているわけであり、自分もそうだと思っています。でも、またスタートなんですよね。ある位置に至ってもまたそこからのスタートの繰り返しで」

ショウ「そうですよね。適当に作った作品を買うわけないですし、常に全力でいなくてはいけない」

柳川「そう。例えばパリコレというステージに立ったら、横はみんな大物です。コレクションに100億かけるようなブランドもいれば僕たちのようなブランドもいるけど、誰もよくボクサーからここまで来たねなんて贔屓して見ませんから。でも、そこに立ちたいんですよ。コテンパになってもそこでやりたい。ここでは負けるから1個ステージを下げたいなんて思う人はいないと思うんですよね、本気でやってる人なら。ボコボコになってもしがみついてもここに立っていたい。そしていつかここで時代に突き刺す何かを残したい。毎シーズン1回1回真剣にやって小さな爪痕を残していけば、それが真ん中に突き刺さる時があるかもしれない。そういう時が来るのか、誰にも、自分でも正直わからないけれど、やり続けないと残れないんです。残っているブランドはみんなそこを闘ったと思うし、そこは信じてやっています。売れるのも成功ですし、そうやって名前を残して続けられるのも成功の道だとは思うんです。でもいくら儲けたら成功というのではなく、常に自分を発展、進化させていきたいと思っているからにはゴールなんてないじゃないですか。最後までやりたいことを貫き通す覚悟でやらないと無理だし、僕はそうじゃないと本当にやってる気がしない。どちらの道を選ぶかはその人それぞれですけど、僕はこっちの道を選んだし、周りにもそういう人が多いんですよね」

ショウ「俺もそうです」

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