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女王蜂『奇麗』インタビュー(前編)

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女王蜂、約3年ぶりのフルアルバム『奇麗』。アヴちゃんが自身の恋愛を赤裸裸に描いた歌詞は恐ろしいほどに率直で優雅である。さらにその恋愛という普遍的なテーマを聴く者ひとりひとりの脳内で“僕の/私の歌”に転換させるポップさ、それを支えるバンドサウンドの跳躍——すべてが群を抜いた紛れもない傑作。

 

―今回はタイトルからしてこれまでとは異なりますよね。『魔女狩り』も『孔雀』、『蛇姫様』も人ではないイメージだったけど、今作の『奇麗』で人間になった印象です。さらに“もう一度欲しがって”、”髪の毛””売春””始発”ーこんなに具体的に恋愛や感情を描いた曲はなかったと思う。今作のテーマが『恋愛』ということは最初から決まってたいたんですか?

アヴちゃん「その通り。『魔女狩り』を録っている時から4枚目は恋愛をテーマにすると決めていて。当時、スタッフに向かって『私、恋愛の歌を録りたい。そのためにドッロドロの、ゴールも全くない恋愛をして、それを昇華したものを作りたいの。覚えておいてね』と言っていたんです。そして律儀にそれをやりました(笑)」

―宣言した通りの恋愛をしたと?

アヴちゃん「そう。だからすごく大変だったし、本当に死んでしまうんじゃないかというくらいの熱量でお互いぶつかって……。私、小さい頃から好きな漢字が1文字あるんです。『親』という漢字は、木の上に立って見るって書きますよね。私は片親やから、自分の親として自分を見て育っていこうと小さい時に決意して。だから女王蜂でライヴをやるにつけても親の目線というのを常に持っていて、ちょっと引いて木の上に立って見ていた。りりこ(『へルタースケルター』)じゃないけど、『自分は自分で作った』という感覚が常にあって。それで自分のことを自分でやればやるほどみんなの歌を歌っているような感じがしていたんだけれど、今回はそれにプラスして恋愛というみんなに起こりうること、起こってることを謡っているから、メロディや歌詞のはまり方もより“みんなの歌”になっているんだと思う。自分のブログのように心情や状況を書いた歌詞だったから、レコーディング中に嗚咽が出るぐらい泣いてしまったりーー初めての経験だった。もし木の上で立って見るという目線がなかったら世に出せるものじゃなかったと思うし、引く力というのがすごく、より強くなったのかなと思います」

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