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ニック・オファー(CHK CHK CHK)『AS IF』インタビュー

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―今回の『アズ・イフ』も含めてこのところアルバムでは、ライヴのテンションをそのまま持ち込むのではなく、スタジオでの作業だからこそ可能な音作りというものに取り組まれてきたわけですが、その手応えはいかがですか?

ニック「いや、今回のアルバムではわりとライヴっぽいのもあるよ。ラップトップでAbletonを使って、あえてクラブ・ミュージックっぽく作ってある曲もあるけど、一週間連続でクラブで新曲だけ演奏した上で、それをスタジオに持っていったりってこともしてるし。だから何曲かはものすごくライヴなんだけど、ただ、結局はスタジオでもライヴ・レコーディングでもフォーカスは同じというか、どうやって今目の前にあるエネルギーを作品に落とし込むかっていう」

―たとえば、以前と最近のアルバムをへた現在と、ライヴに対するアプローチが変わったような感覚はありますか? ライヴだからこそ実現可能なサウンド、というか。

ニック「毎回新しいことを発見しようとしているわけで、当然ライヴだって変化している。5年前と今とでは同じ曲をやるんでも全然違うっていうようでありたいし。それに前回のアルバム(『スリラー』)だったら、“スライド”とか、スタジオで作り込んだ曲だから最初はライヴでやるかどうか迷ってたんだけど、『これをライヴで再現してみたらどうなるんだろう?』って思っていろいろ試行錯誤した結果、ライヴでやるとめちゃくちゃ面白い曲になったり。今回の”All The Way“とかは、デモの段階ではライヴっぽくない曲だったんだけど、曲を練習していくうちにどんどんライヴっぽい音に近づいてきたり、そうやって常に進化し続けていくんだよ。ただ、自分達が普段聴いてる音楽は音に加工してたり、古いディスコのループを使ってる作品が多かったりするわけで、だから自分達の音をそのままクラブ・ミュージックの手法みたいにAbletonに落とし込んで使ってみたらどうなるんだろう?っていう。毎回新作を作るときは、必ず前回のアルバムを通して新たに習得した技を活かすようにしてるんだ」

―ちなみに、ヴォーカリストとしての自己評価はどうでしょう? 今回のアルバムには様々なゲスト・ヴォーカリストが参加していて、ある種ヴォーカル・アルバムと言える側面もあると思いますけど。

ニック「とりあえず、自分にできることとできないことについて理解してるつもりではいるよ。ギタリストの場合、自分の音をプロダクションによって変化させていくことができるじゃないか。それがヴォーカルだと、たとえばREM でありU2の曲をマイケル・スタイプなりボノなりと結びつけずに聴くって難しいわけじゃないか。誰が聴いてもその人ってわかる声っていう。だから、自分の声を変えてみたい願望があるというか……ここが長年同じバンドをやってると難しいところで、せっかく新しいサウンドを見つけても、ヴォーカルの声だけはそこまで大幅には変えられないからさ。自分としては歌うのは好きだけど、同時に違う声も試してみたいっていう思いもあるんだよね」

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