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ウィスット・ポンニミット ×臼田あさ美『REFRESH! Mamuang』インタビュー

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——最初の話に繋がりますけど、日本には“天職”という言葉があって。タムくんに説明すると、その人の天性に合った職業という意味なんですね。2人はそれぞれの仕事を天職だと思いますか?

タム「マンガは自分に合ってると思う。でも、まだ(自分の才能を)使えてないものもある。ちゃんとストーリーがあってオタクっぽいマンガを描いてみたいけど、そういう仕事はないから。日本でもタイでも僕のお客さん(読者)はそういうマンガが得意じゃないと思うし。(自分の作品のイメージが)オープンな感じになっちゃったから。でも、自分には才能があることはわかる。音楽の才能は……ギターやピアノの演奏も上手くないし、そんなにないけど(笑)、歌うのは好き。誰かが演奏してくれたら、僕は歌うだけでも気持ちいい」

——臼田さんはどうですか?

臼田「天職だとはまだ思えてないな」

タム「ホント!? あさ美ちゃんは華やかだから、花屋さんもいいかもね」

臼田「お弁当屋さんがいいかも。食べたいから(笑)。タムくんは演奏が上手くないと言ってるけど、演奏やお芝居が上手いことだけを才能とは言い切れないと思うし。私は今の仕事を好きでやってるけど、自分にマッチしてるかって考えたらときどき違和感を覚えることもある。この仕事はスターを目指すことがいいとされているところもあるから、そういうときに違和感を覚えてしまう。私は真ん中がいいなって思うんですよね。アンダーグラウンドでもないし、スターでもなく。そういうバランスが理想的ですね」

——臼田さんは今おっしゃったようにとてもいいバランスで仕事ができてるんじゃないですか?

臼田「今のバランスは自分を守るためだから。自分がイヤになったり、傷ついたり、落ち込んだりしないようにバランスをとってるんですよね。だから、すでに誰かがやったやり方ではなくて、自分なりのやり方で仕事できたら天職と思える日が来るかもしれないですね」

タム「仕事を選べてるのはめっちゃいいよね」

臼田「うん、ありがたい」

タム「こんな国ってあまりないよ。タイは芝居(役者)とかマジで少ない。だから、あさ美ちゃんは幸せだと思う」

臼田「ありがとう。そう言ってもらえて、幸せです」

 

 

撮影 中野修也/photo  Shuya Nakano

文 三宅正一/text  Shoichi Miyake(Q2)

編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara

REFRESH! Mamuang

会期:2015年11月13日(金)〜12月13日(日) 会期中無休

(11/15 15:00-17:00はイベント開催のため会場内の作品をご覧いただくことはできません)

会場: 六本木ヒルズ A/D ギャラリー (六本木ヒルズウエストウォーク3F 六本木ヒルズアート&デザインストア内 )

tel 03-6406-6875

開館時間: 12:00〜20:00

入場料: 無料

ウィスット・ポンニミット

1976年、タイ・バンコク生まれ。愛称はタム。1998年バンコクでマンガ家としてデビュー。2003年から2006年神戸在住の後、現在バンコクを拠点に作品制作中。「マムアン」シリーズ、『ブランコ』(小学館)、『ヒーシーイット』 (ナナロク社)などマンガ作品多数。2005年横浜トリエンナーレ参加。2009年『ヒーシーイットアクア』が文化庁メディア芸術祭マンガ部門奨励賞受賞。2015年バンコクで個展「MELO HOUSE」を開催。アニメーションや音楽制作も行い、音楽作品に原田郁子との共作「Baan」(2013年)がある。

 http://www.wisutponnimit.com/

臼田あさ美

1984年千葉県生まれ。10代の頃からモデルとして活躍後、ドラマ、映画、CMと幅広く活躍。ラブコメディ『ランブリングハート』(10 / 村松亮太郎監督)で映画初主演を果たし、ひとり二役を演じる。その他の映画出演作に『色即ぜねれいしょん』(09 / 田口トモロヲ監督)、『キツツキと雨』(12 / 沖田修一監督)、『映画 鈴木先生』(13 / 河合勇人監督)、『桜並木の満開の下に』(13 / 船橋惇監督)、『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』(15 / 姜秀瓊監督)などがある。

http://www.ateam-japan.com/ateam/usudaasami/

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