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Melanie De Biasio『No Deal Deluxe Edition』インタビュー

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――あなたにとって、ブルースとはどんなフィーリングなんでしょうか?

メラニー「私にとって、ブルースは魂であり、心臓の鼓動、シンプルなものを語るための言語ね。そして、クラシックや日本の伝統的な雅楽、ポルトガルの民族民謡、ファドを含め、全ての音楽はブルースというフィーリングから生まれて、それぞれ固有のブルースがあるんじゃないかと思っているわ」

――確かに、ブルースというのは、苦悩や哀しみ、痛みといった感情を歌によって転換する、そんな音楽だと言われていますよね。

メラニー「そう、つまり、ブルースというのは、癒やしのためのプロセスということよね」

――『No Deal』で自分らしいアルバムを作ろうと思った時、ブルースもまた自然ににじみ出てきた、と。

メラニー「そうね。このアルバムでは私の魂が語っているんだと思うわ」

――この取材の前に行われた写真撮影でも、モノクロで撮って欲しいとおっしゃっていましたが、ブルースがにじむこのアルバムから多くのリスナーがイメージするのもモノクロームな世界ですよね。

メラニー「モノクロにこそ、全ての色があるような気がしているの。そして、モノクロだからこそ、想像力が喚起されて、色んな夢を見ることが出来る。今回のアルバムのアートワークに関して言えば、一番の主役はそこに映っている私ではないの。そうではなく、私の周りにある黒さ、その奥深さを表現したかったし、その黒に意味を持たせるのが私の役割で、その黒を通して、リスナーが作品世界に足を踏み入れる、そんなイメージを持っていたんだけど、そのことをレーベル・スタッフに理解してもらうのが大変だったわ」

――そして、2013年にリリースされた『No Deal』は、昨年2015年に、ジャイルズ・ピーターソンやシネマティック・オーケストラ、クラップ!クラップ!といったアーティストが腕を振るったリミックス・アルバムもリリースされました。現在はライヴ中心の日々を送られていますが、このリミックス・アルバムは、あなたにとって、どんな意味を持つものですか?

メラニー「リミックス・アルバムの制作をレーベルから提案された時、私自身は「何故? ここに全てがあるじゃない?」って思って、当初は全く乗り気じゃなかったの。でも、(新世代ジャズの発展に多大な影響を与えたイギリスのDJ)ジャイルズ・ピーターソンと会って話した時、彼にリミックス・アルバムのディレクターとして関わってもらったら、面白いものが出来るんじゃないかと思って、その役割をお願いしたの。ただ、その時、彼に伝えたのは、アルバムは一つのストーリーになっているから曲順は変えないで欲しいということ。そのうえで、リミキサーの選定を彼に一任して、完成したリミックス・アルバムを聴いた時、彼にお願いして良かったなと思ったわ。なぜなら、リミックス・アルバムはジャイルスの物語になったから。そして、オリジナルで広がる自分の物語とは違う物語として、客観的に捉えられたことで、その経験が、この先の音楽活動を続けるうえで、大きな糧になったことは間違いないわ」

 

撮影 中野修也/photo  Shuya Nakano

取材・文 小野田 雄/interview & text  Yu Onoda

企画・編集 桑原亮子/edit  Ryoko Kuwahara

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Melanie De Biasio

『No Deal Deluxe Edition』

ボーナスディスク『No Deal Remixed』(8曲収録)

(Play It Again Sam/HOSTESS)

発売中

 

 

Melanie De Biasio

ジャズ、ブルース、ソウルの影響を受けるベ ルギー出身の個性派シンガー。ベルギーの 名門大学、ブリュッセル王立音楽院で音楽の 才能を開花させ、07年に発表したデビュー・ アルバム『ア・ストマック・イズ・バーニング』が 国内外で高く評価されている。古き良きジャ ズ、ブルース、ソウルの影響を受けるメラニー の歌声からビリー・ホリデイやニーナ・シモン に例えられ絶賛されている。14年に発表した 大人のスムースジャズのフレイヴァーが漂う2 作目『ノー・ディール』はレディオヘッドのフィリ ップ・セルウェイが自身の年間ベスト1位に選 出。2015年度「ヨーロピアン・ボーダーブレー カーズ(EBBA)賞」を受賞した。

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