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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.11 Toro Y Moi × オカモトショウ

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——トロ・イ・モワの最新アルバム『What For?』はバンドサウンドがフィーチャーされてますが、あなたはアルバムごとにかなりモードを変化させますよね。 T「音楽を作ってるときは自分が退屈しないように心がけてるんだ。あと、音楽を作らなければいけないという義務感を持たないようにしてる。何よりも楽しく音楽を作ることをつねに意識していて。それを満たすには変化が大切になる。ロックンロールからヒップホップにモードチェンジしてみたりね。それはリスクのあることだけど、同時に醍醐味でもあるんだ。リスクってどんなことにも伴ってるものだから。クルマや飛行機に乗ることだってリスクが生じるし、家を出るという行為だってそう。生活にはリスクが不可欠なんだ。そのリスクがあるからこそ、毎日がおもしろくなる。だから、自分の音楽が人々に受け入れられようが、受け入れられまいが、僕はいつもリスクを楽しみながら曲を作ってる」
——OKAMOTO’Sのニューアルバム『OPERA』もまさにそういった日常のリスクやアクシデントをきっかけにストーリーが展開されていくロックオペラなんですよ。 T「ナイス!」
ショウ「サブスクリプションが普及して、アルバム単位で作品が聴かれることが希薄になりつつある今の時代にロックオペラを作るなんてクレイジーだと言う人もいるけどね(笑)。ひとつのストーリーを軸にして、各曲が繋がってるというアルバムなんです」
T「クールだね。すごくいいと思う。そういうアルバムを作ることで、自分たちが型にはまってないことを実感できるでしょ? そのフィーリングってなかなか感じられるものじゃないし、貴重だと思うよ」
ショウ「実はそのアルバム制作の最中に『What For?』に強く影響を受けました」
T「ホントに!? それ最高!」
ショウ「本当に。あの作品も素晴らしかった」
T「ありがとう。すごくうれしいよ。インターネットの反応を見ていると、トロ・イ・モワ=エレクトロって思ってる人が多くて。だから僕の音楽のギターサウンドを気に入ってくれるのはすごくうれしい」
ショウ「もちろん、バンドサウンドに傾倒しているのも印象的なんだけど、俺はメロディがすごく気に入っていて。突然メジャーコードからマイナーコードに変化する部分だったり。あれを聴いて『これだ!』と思ったんです(笑)」
T「うれしいよ。メジャーからマイナーに変化するところは僕も気に入ってる。ザ・ビートルズもよくやってる手法だよね。マイナーキーのヴァースからメジャーキーのコーラス(サビ)に入ったりね」
ショウ「そうです。それまではメジャーコードで曲を作り始めたら、ずっとメジャーコードで進めていたんだけど、『What For?』を聴いてコードにとらわれなくていいんだと思えました。自分が変えたければ変えていいんだって(笑)。『What For?』はそのうえでメロディが美しいのでなおさら素晴らしい」
T「ありがとう。音楽にルールはないからね。それはアート全般に言えること。自分が感じるままに表現すればいい。もちろん、ちょっとしたルールはあるんだけどね。ポップミュージックを作りたければアバンギャルドになりすぎたら上手くいかないし。だから、作りたい音楽にもよるんだけど、基本的にはたとえジャンルやフィールドが異なっても自分が好きなことをしていいんだよ。それもつねに僕が意識してることだね」
ショウ「音楽を作っているときに、自分以外は誰もその作品を好きにならなくてもいいと思って作るんですか?」
T「そういう考えがいきすぎるときもあるよ。でも、だいたいは最初に感じたフィーリングを活かして、流れに任せて作るようにしてる。リスナーの反応を必要以上に考えることって、クリエイティビティの大事な部分が揺らいでしまう要因になるから。リスナーの反応を考えずにはいられないのも事実だけど、なるべく考えないようにしてるね。これもさっき話したルールにとらわれないという考え方に繋がってくる話で。僕は成功することに貪欲じゃないから、みんながロックをやっていれば逆にエレクトロがやりたくなるし、その逆も然りなんだ」

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