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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#33 スピリチュアル・ヒーリング

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医学以外のヒーリングでは、儀式や儀礼、道具などが重んじられるものもあるが、霊的治療では、それはどうでもいいことだと一蹴している。そしてここで出てくる「治療理論」とう科学的な響きの言葉がひっかかる。この本の中で続いて語られることは、治療方法、治療公式、治療能力の開発、教会・医学との関係、各疾患への対応、などで、それらが科学的な文献を読むような冷静さで述べられている。本書の中ではイエスを治療家として捉えていて、彼の奇跡などについても言及している。
ざっとその治療の流れをまとめてみると、次のようになる。
治療者は瞑想などを通して心を落ち着かせ自らを高めて治療霊・患者と同調するのを待つ。同調ができたら、患者の悪い部分に手を置く。以上。
たったこれだけである。実にシンプルだが、トランスせずに平静な精神状態で治療霊や患者と同調するというのは、簡単ではないと想像できる。治療現場ではいたってシンプルなのだが、それを使うには、天性と努力が必要だ。
治療霊との同調にしても、一方的に憑依されるのとは違い、対等なパートナーシップのようなものであるらしい。なので、治療能力の開発は、憑依の危険性もあり、独学よりもしっかりとした指導者のいるグループで学ぶことが望ましい。
そして最も大切なのが、無償の愛で患者に接することができるかどうか。ハリー・エドワーズさんを例にあげると、彼は一切の報酬を求めずに、治療所は患者からの寄付だけで運営されていた。寄付はもちろん任意なので、払わなくてもよいのだった。
まあ、特異な能力はやはり欲の張った凡人には与えられないということだ。
霊の存在を認めること。それらを治療霊として招き肉体の不調を治してもらうこと。治療家は治療霊と親和し同調することで患者との仲立ちになること。これらのことは、信じる信じないを問わずに、話としては新規なものではなく、むしろ古臭いほどに知られている。実際イエスの時代からは確実に聖書上に奇跡として残り続けてきた話であるし、その前のブッダやそれ以前のエジプト時代にも存在していた治療の定番だとも言え、むしろ科学的な医学の方がテイストとして新参だ。


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