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text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#47 日光浴

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 だが、美白を追求するばかり、日光を避け続けるのは、健康を損ない、美容以前に様々な体調不良や病気を誘引してしまうことも知識として入れておきたい。食物から摂取しづらいビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける役目があるのだが、紫外線を材料にして皮膚がこのビタミンDを生成する。このビタミンDが不足すると、骨阻喪症や、精神不安定、免疫の低下、冷えなどの原因となる。つまり老化が進んでしまうというわけだ。


 ここは悩ましい。短期的な美白を取るか、長期的な本当の意味でのアンチエイジングを取るか。私個人は、男ということもあり、美白にはこだわっていないが、極端な日焼けによる疲労感、一時的な免疫機能の減退、シワやシミは好ましくないと思っている。敢えて日に灼けようとビーチで寝そべっていた事は遠い昔で、沖縄で暮らしていても敢えて肌を灼こうなどとは思いもしないし、普通の生活で灼けてしまうのは仕方がないとくくっている。肩や背中には、かつての日灼けが、シミとなって居座っているが、それはすでに気にしていないが、ことさら増やす気はない。


 だがいろいろ思いめぐらした結果、日光を避ける、特に極端に忌み嫌うというのは、やはり不自然だと思う。
 人類の尺を持ち出せば、エジプトの第5王朝のレリーフには、すでに日光浴を楽しむ王族の姿があるし、ギリシア時代は、ヒポクラテスをはじめ医者たちから日光浴が勧められてきた。その頃にも皮膚ガンはあったのかもしれないが、それを持っても有り余る効用の方が良しとされたのだろう。
 紫外線の効用は、現在では様々に証明されていて、骨の強化、糖尿病の予防、頭痛の緩和、食欲増進、胃腸の調整、歯が強くなる、アトピー性皮膚炎の良化、花粉症の減退などがある。これらの効用を眺めると、やはり太陽の存在を大前提に生命を進化させてきたのだから、その太陽光線には多くの効用があって当然だと改めて納得する。
 妊婦や乳児にとって日光浴が必要な事は、比較的知られているかもしれない。これもビタミンD不足にならないためのことだ。乳児がビタミンD不足になると、O脚の原因になりやすく、また妊婦時の女性は通常よりも光線感受性が1.5倍になることからも、身体が光を求めていることが分かる。光を取り入れて、カルシウムを吸収しようと努めているのだから、これが不足するのは当然避けるべきで、積極的に日光浴をするべきだろう。このことは室内で飼われているペットにも当てはまることなので、ベランダや庭や戸外に積極的に連れ出す工夫が必要だろう。



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