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text by Meisa Fujishiro
photo by Meisa Fujishiro

藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#47 日光浴

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 一方で、紫外線の悪影響を懸念する態度もある。
 私たち日本人を含む有色人種よりも白人の方がその影響を受けやすく、特にオーストラリア圏ではオゾン層の破壊などの現象と共に、太陽に肌を晒すことへの抵抗が強まっているようだ。悪影響の具体例としては、皮膚ガン、しわ、たるみ、白内障などがある。有色人種は日焼けをすることで紫外線のブロックするのだが、白人は肌が赤くなるだけでブロック効果が弱いために、もろに悪影響を被るということだ。
 自然破壊、環境汚染などにより、牧歌的な自然との付き合いが、ここ数十年で急速に対応を変えなければいけないことになっているようだが、実際はどうなのだろうか?恐怖を煽るというのはビジネスの定番手法だからといって様々な危惧を無視するには、それなりの確証が欲しいところだ。紫外線の悪影響を気にすることで、日光浴もままならなくすることは、果たして正しい対応なのだろうか?


 まず皮膚ガンなのだが、これそのものは、転移しないため局部治療で済み、死に至ることは少ないガンである。皮膚ガンで亡くなった人をこれまで私の周囲では知らないし、例えば芸能人などの訃報や、何かのニュースで死因が皮膚ガンであることは、聞いたことがない。私が知らないのは偶然だと思うが、皮膚ガンは早期発見しやすく、進行も遅いために致死率が低く、10万人に1.3人ぐらいだ。また皮膚ガンの原因の全てが紫外線というわけでもない。そして、年間の死亡者でいうと、男性で700~800人ほどで、肺がんでのそれが50000人をゆうに超えることと比較すれば、皮膚ガンのリスクに怯える必要はさほどないことが分かる。それよりも肺がん、胃がん、大腸がん、膵臓癌への予防に気を回す方が先決だろう。
 もともと地球に燦々と降り注ぎ、命を育んできた日光を恐れるのは、むしろ美容面からの方が遥かに多いのではないだろうか。肌に乾燥などのダメージを与え、シミ、たるみの原因となるのだから、特に女性にとって避けたいのは当然だろう。



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