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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#7 海水浴

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時に今は夏。それは一年で最も海に親しみやすい時だ。なので、半日でも空いたら、東京の人なら、逗子や九十九里行きの電車に飛び乗ってもらいたい。その他の地域の方々にも、最寄りの浜へとおでこを向けてほしい。
日焼け対策を万全にしてもしなくても自由だが、自分はもっぱらしない派で、焼きたい訳ではないのだが、直に海と太陽を感じたいので、そうしている。なので、必然的に短い海水浴になる。せいぜい二時間。あとは、木陰でアイスクリームを食べたり、ぼんやり眺めてから、さっさと帰る。
沖縄人は、肌を出して海水浴をする習慣がなく、必ずTシャツやラッシュなどを来て海に入る。日焼けすると痛いし、肌を焼きたくないからだ。なので、沖縄で肌を出して海に入る人は、一目で観光客だと思われる。私は、この沖縄で、観光客スタイルを貫いて海を楽しんでいる。
水中メガネは、あった方が楽しい。シュノーケルがあるとなお浮遊感が楽しめる。珊瑚を見下ろすと、自分が飛行船になってアマゾンのジャングル上空を旋回しているようだ。
そして、水中で目にする者たちへの、声かけもする。魚、なまこ、ウニ、珊瑚、石、砂、貝。全ての者へとは行かなくても、目が合ったような、心に触れたような気がしたら、そちらに自分全体を向けてみる。心内で、何かを伝えるのも良い。
言うまでもなく、彼らは全て同胞だ。脊柱動物は海から始まった。さんざん理科でも習ったように、海は私達の遠い故郷なので、いまだにそこに留まっている者たちとの出会いは、里帰りのようなものだと、自分はいつも感じている。
自分は、陸に引っ越してからこっちが長くなったけど、そっちはどうですかー?な感じだ。遠い未来に、私達の子孫が海へと帰ることもきっとあるだろう。その時のために、いずれよろしく!みたいな気持ちもある。

(4ページ目につづく)

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