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OKAMOTO’Sのアドレス帳 Vol.7  柳川荒士(JOHN LAWRENCE SULLIVAN)×オカモトショウ(後編)

ショウ「興味がないものは世の中に沢山あるし、街の中にも溢れてるけど、あまりにもそういうものばかりに囲まれてなんとなく暮らすのはもったいないなと思いますね。ちょっとでも自分はこれがいい、これが嫌だという感覚を持てば、大好きなものができて、それになんとかして関わりたいと思って仕事や趣味を始めたり、人生に1つ道筋ができていくような気がします。そこまで壮大なものを常に伝えたいと思うほど俺は偉くないけれど、最終的に行きつきたいのはそういうところですね」

柳川「OKAMOTO’Sの音楽を聴いてそういう気持ちになってる人は絶対いると思いますよ」

──実際、OKAMOTO’Sからそのルーツを辿り始める人もいますしね。

ショウ「ハマくんがやっていたラジオに、16歳の女子高生から『The Whoをかけてください』というリクエストが来て。俺らがアルバムでカバーしたのを聴いて知って、『オリジナルを流してください』って。そういうのは本当に嬉しいですね。ルーツが全てではないし、そこから最新の音楽を聴き漁るでもいいんだけど、とにかく自分の好き嫌いがわかったり、文化に興味を持ってくれるという、それが嬉しいですよね。自分たちが作っている好きなものが、そういうきっかけになれたらいいなと思います」

──JLSの服も、生地から、それこそ糸からこだわって作っていることで他にない美しさが出来上がっている、そういう裏側をもわかってもらえたら嬉しいですよね。

柳川「そこを売りにしているわけではないけれど、自分自身が白いシャツが5枚並んでいてその中から1枚を選ぶ理由があるじゃないですか。シンプルなものの中で選ばれるということ、選ばれるために妥協したくないんです。こういうシャツだったらこういう素材があればいいけれどない、じゃあ自分たちで作らないとっていう。既成の素材で安価な白シャツでいいという人はそれでいいんです。でも目の肥えた人たちや感性の鋭い人たちに手に取ってもらうためにやってみるというだけで、いちいち裏側を謡う必要もない。周りに向かって無言で、服で、『どうですか、わかりますか』って常に真剣勝負で挑んでいるんです。わかってほしいなって」

ショウ「本当にそうですよね。その努力、自分を突き詰めていく感じ、それこそ自分の中のプレッシャーとの闘いですよね。今は次のアルバムに向けて色んな曲を書いてるんですけど、とりあえずやりたいことを全部やります。最近はメンバーも『どうなってんの?』って混乱するくらいの曲を沢山書いてるんですよ。本当に、それくらい自分を出して挑戦して、突き詰めていかないとなって思います。苦労するというか、魂を削ってる瞬間がありませんか? 『いや、もっとだ』みたいな時だったり」

柳川「ありますね」

ショウ「そこがたまらなく楽しいんだけど、気づくとドッと疲れたりもして。ずいぶん前に作ったものを聴いて『うわあ、狂気じみてるなあ!』と感じたり。でも何か残したいですよね。自分のクリエイションを人に伝えられたり、そこで好き嫌いを判断してもらうために、自分も熱をもって作っていくべきだと思うし、OKAMOTO’S印を残せたらいいなとは思いますけどね」

柳川「そもそもOKAMOTO’Sの音楽を聴いたり、JLSの服を着てみたいと思う人は、やっぱり何か感じたいと欲しているんだと思います」

──どちらも主義主張が激しいですからね。

柳川「それでいいんですよ」

──うん、アクがあるほうがいい。ショウくんは世界にも出てみたいと思っているわけで、その話も聞いてみたいんじゃないですか。

ショウ「そこはすごく興味があります。やっぱり自分で世界に行きたいというアピールをして向かっていったんですか?」

柳川「僕はやりたいと思ったら即行動してきた人間なんです。オファーされて大きな合同展示会の中で4ブランドくらいでショーをやったのが東京コレクションのデビューなんですが、面白かったんですよね。リハも本番もとにかく気持ちが良かった。自分の服をモデルが着て歩くとすごく格好いいなと思ったんです。それで、これを自分1人の舞台としてやりたいと思って、即その半年後に単独のショーをやったんですよ」

ショウ「早っ!」

柳川「ファッション協会に参加せず、自分だけでやりました。金曜の夜19時にやりたいけど、大きい団体に入るとスケジューリングされてしまうから関係ないところでやろうと。同じ時間に大御所が入ってるけど、僕はここでやるって。どこにも所属していないのに、2回目くらいから東京コレクションの中の中心的なブランドとして位置付けされるようになって、お客も沢山入ってくれるようになって。でも4年やって、何か面白くなくなったんですよね。デザイナーとバイヤーと編集者で、自分がドンと出したものを相手がどう感じてどう書くか、買うかという真剣勝負の場だったはずだったのが、中心に位置付けされたことでつまらなくなった。それでもっと面白いところでやりたいと思って、ワンシーズンお休みしてパリコレクションに出ました。まだ自分は足りないとわかってるし、世界はもっとすごい、もっと厳しいところで沢山の人に見てもらいたいと。それで実際に行ってみて、色々傷つきながらもやってるところです。今、ショー自体はお休みして、また新しいステップに向かっています。僕はできる状況があり、その志があるのなら、世界にチャレンジしてもいいんじゃないかと思います。違うなと思ったらやめればいいし、それは決して格好悪いことじゃないと思う」

ショウ「そうですよね。世界でやりたいというのはずっと夢見ているのでチャレンジしたいです」

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