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世界はいつだって私たちのもの!女性目線で楽しむ第28回東京国際映画祭

イラン発、女性の死に潜む伝統の闇

 

『ガールズ・ハウス』(2015年、イラン)

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全世界絶賛の傑作『別離』を生んだイランからは、伝統のタブーに真っ向から疑問を投げかけるサスペンス映画『ガールズ・ハウス』をご紹介。

 

結婚式を目前に控えた花嫁が遂げた突然の死。友人二人が、謎の電話や、亡くなったはずの花嫁の携帯から送られてくるメッセージを頼りに、幸せの絶頂期にいたはずの花嫁の身に起きた真相を探る。やがて彼女らがたどり着くのは、式の当日に花婿が姑から無理強いさせられた、ある儀式だった……。

物語の時間軸が交差しながらも、ストーリーが進むにつれて暴かれる真実。花嫁がとったのは悲しい選択肢でしたが、それは不条理な道徳観や男性社会における女性弾圧に刃向かうための数少ない手段のひとつだったのでしょう。
イスラム社会の伝統的な宗教観に疑問を投げかける本作は、イランのファジル国際映画祭で上映されて以来、海外での初披露を今回の東京国際映画祭で果たしました。しかし本国イランにおいては、不道徳な映画として非難され、いまだ一般上映できずにいるほど。
とりわけ女性への制限が根強い中東において、それでもなお我が道を進もうとする女性たちの姿が示唆するのは、伝統と現代の狭間にいる若者たちの葛藤。決してひとつの答えが用意されているわけではなく、観た一人ひとりがそれぞれの解釈で自分なりの答えを考えたくなる、そんな一本に仕上がっています。

Text by Lena Oishi and Tomo Kosuga

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