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OKAMOTO’Sニューアルバム『Let It V』ロングインタビュー (前編)

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—それはすごく伝わりました。私は自由になることでいい作品ができるなら全然いいと思ってて。それに禁じ手にしてた部分がOKAMOTO’Sらしさを損なってるとは思わなかったな。 

ショウ「前回は本当に良いツアーが出来ていて、ステージから見えるお客さんの表情も変わりましたし、伝わってるなと思う反面、劇的にチケットやCDの売り上げが上がるということはなくて。自分としてはそうやってルールを決めて作った楽曲たちが多いから分かっていたつもりでしたが、やっぱり幅広い層までは伝わらないんだとはっきり分かった。端的に言うと、フェスで四つ打ちなら何でも踊りますっていうお客さんなどには伝わらなかったんですよ。ここまでやっても遠回りして行こうとすると俺らの良さに気付いてもらえないんだと感じて」

—ああ、まさに“ドアを叩けば”ですね。

 ショウ「そう。で、ツアー中に4人で話していて、『じゃあもう四つ打ちをやってみようよ』という話になって。それが“JOY JOY JOY”なのですが、披露したらお客さんがみんな面白いくらい踊ってくれたんです」

ハマ「悲しさ反面みたいな、複雑な気持ちでしたよね」

レイジ「切ないギャグって感じ。自虐ネタみたいな」

ハマ「やらないと良さも悪さも分からないので、敢えて作ったんですけど、僕らの希望としては、『ノレるけど、そんなのやっちゃって!』くらいに言われたかったんです。それが驚くほど素直に踊り始めた。もちろん違う景色の入り口だったのである種の戸惑いはあったものの、ある意味で狙い通りの結果でした。ただ、そのシングル取材のときに、こぞって『OKAMOTO’Sらしくていいナンバーですね』と言われて。そこでズドーンと落ちたというか。

僕らがセルアウトしたねという心持ちでやったことが、実は世間的にほとんど気にされていない。ライターさんの中にはそういう風な切り口じゃなく、『これに至った経緯を教えてほしい』と言ってくれる方もいましたが、8,9割の方は商業的な聴き方をしていたんです。そこで僕らは危機感を覚えたし、リズムを意識してるのは僕らだけなんだなということがはっきりわかって。そこから1枚シングルを出す予定だったので、次にどういうアプローチをしようかという話の時に、もっとド渋なバラードやミディアムテンポのアルバムに収録されているような曲の片鱗も出来来ていたので、そっちの方向もいけるんじゃないかと言いつつ、あれだけ振り切ってやったと思っていた“JOY JOY JOY”が世間的にそういう評価だったから、逆にギアを変えると振り回すことになるし、自分らも訳分かんなくなってしまう。だから“JOY JOY JOY”的な方向の楽曲をもっと極限まで挑戦して、今の流行っているものに対してのパロディを作ろうということで“SEXY BODY”が出来たんです。

それと同時にアルバムも作っていくのですが、あの4枚目を出してツアーを廻ったおかげで世の中のことを100%意識するようになったんです、現実も全部含めて。

まあ最初にガミガミ言っていたのは僕で、『やっぱりシーン全体が四つ打ちだと面白くないよね』と。別に四つ打ちを否定したいわけじゃなくて、『音楽ってもっとこういう楽しみ方があるよ』という提示をし続けていたのが僕らだというのを、最近のシーンをちゃんと見て漸く気が付いた。僕らが伝えたいことがはっきりわかったんですよ。お祭りに来たのに屋台が全部焼きそばみたいな、音楽フェスの状況。同じことをやっていたとしても格好いいものは評価されるべきだし、僕らもいいなと思っているのですが、やっとけばいいぜみたいなことにもなってしまっている。実力社会だったはずのところがどんどんなあなあになっていってしまっている現状などに新曲を作っている時にグツグツになってしまって。それが“SEXY BODY”に繋がり、アルバムにも繋がるんです」

コウキ「それで、アルバムを作る会議で全部そういう曲にするかという話にもなりまして」

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